抗議する住民が立ち退いた間に…瀬戸内・嘉徳海岸の護岸工事、作業再開 公金差し止め訴訟棄却後初 県「早期完成を目指す」

2025/07/10 07:00
護岸工事の作業再開に抗議する住民ら=9日、瀬戸内町嘉徳
護岸工事の作業再開に抗議する住民ら=9日、瀬戸内町嘉徳
 鹿児島県は9日、一部住民らの抗議で進んでいなかった瀬戸内町嘉徳海岸の護岸工事を始めるため、作業を再開した。住民らが工事は不要として県に公金差し止めなどを求めた訴訟の敗訴が確定した5月以降では初めて。県は「早期完成を目指す」としている。

 県によると、海岸は2014年の台風で砂丘が浸食した。県は事業費3億4000万円で長さ180メートル、高さ6メートルの護岸整備を計画。嘉徳集落の住民の多くが早期完成を求めているという。

 再開した作業は土のうの搬出で、終了まで1週間ほどかかる見込み。この日午前は一部住民の抗議があったが、午後は立ち退いたため実施できた。県はウミガメの産卵時期後の9月以降、本体工事を始める予定。

 抗議した住民らは「砂丘は回復傾向にある」「護岸をもっと陸側にできないか」などとして、県に再協議を要望。海岸一帯は世界自然遺産地域の緩衝地帯で、集落に住む武久美さん(50)は「住民の声を聞かない県の対応は残念。今後も意見は発信していく」と話した。

 一部住民らは19年に提訴。一、二審は請求を棄却し、最高裁は上告を受理しない決定をした。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >