7月20日投開票の参院選鹿児島選挙区(改選数1)で、各陣営が女性や無党派層の票の掘り起こしに照準を合わせている。自民党元職は動員力ある現職大臣にあやかり、交流サイト(SNS)でもてこ入れを図る。唯一の女性候補でもある無所属新人は「鹿児島初の女性国会議員を」と訴え、参政党新人は党代表の応援も得て子育てに関する公約などで支持を呼びかける。
■素顔を発信
「園田さんは介護担当大臣と言えるほど専門分野に長けた人。力を貸して」。13日、自民の園田修光氏(68)の応援で小泉進次郎農相が演説すると、JR鹿児島中央駅前(鹿児島市)に集まる若い女性や家族連れから歓声が上がった。長男が小泉氏のファンという同市の里のぞみさん(42)は「ひと目見たくて。減税も気になるが候補者の言葉を聞きたい」。関係者は「すごい熱気。選挙にもプラスになるはず」と期待する。
陣営は福祉や子育て、賃上げなど政策や演説を発信するインスタグラムアカウントと別に、「となりのそのださん応援日記」で孫と遊び笑顔の園田氏を発信。選挙を支える次女莉奈さん(37)は「普段の親しみやすいおじいちゃんの顔も知ってほしい」と意気込む。
■唯一の女性
唯一の女性候補を前面に押し出すのは立憲民主党が推薦する尾辻朋実氏(44)。「鹿児島は今まで(選挙区で)女性が一人も国会に出ていない。その中で立ち上がり、批判を受けながら頑張っている。必ず暮らしを良くするため働いてくれる人だ」。6月、姶良市であった集会で演説した立民の野間健衆院議員(鹿児島3区)は力を込めた。
選択的夫婦別姓制度の実現や、ジェンダー平等推進のための民法改正などを訴える。選挙用のチラシでは「鹿児島初の女性議員を国会に送ろう!」とアピールする。柳誠子選挙対策本部委員長は「年齢も若く『女性に頑張ってほしい』と期待する声はすごくある。30代から60、70代くらいまで幅広く応援してもらえている」と手応えを語る。
■政策に共感
「今回大事なことは投票率を上げることだ」。医師で新人の牧野俊一氏(39)を擁立した参政の神谷宗幣党代表は12日、鹿児島市で応援演説した。会場の中央駅東口は幅広い年代の女性や子どもを抱いた親子連れらで混雑した。櫻木隆志県連副会長は「子育て政策などの訴えに共感し20、30代の女性からの支持が広がっている」と実感する。
活動を支える党員・サポーターも女性が多い。「医師という職業は年配の女性の信頼感を得ている。自転車で移動する姿も、行動力や体力があると捉えられている」。党は公約に15歳までの子ども1人当たり月10万円の固定給付を掲げる。櫻木副会長は「『子どもたちの未来のために』との訴えが響いているのでは」とし、今後も力を入れる。
鹿児島選挙区ではNHK党新人の山本貴平氏(50)も支持を訴えている。