少量の雨でも、土砂流出の恐れあり――噴火続く霧島連山・新燃岳 専門家が上空調査 火口から鹿児島県側に大量の火山灰堆積

2025/07/15 22:33
上空から撮影した新燃岳火口付近。堆積した灰が雨で溝に入り、浸食が進んでいるとみられる=15日午後(国土交通省九州地方整備局提供)
上空から撮影した新燃岳火口付近。堆積した灰が雨で溝に入り、浸食が進んでいるとみられる=15日午後(国土交通省九州地方整備局提供)
 国土交通省九州地方整備局は15日、霧島連山・新燃岳を上空から調査した。参加した鹿児島大学名誉教授の地頭薗隆さん(67)=砂防学=は、火口から南西〜南方面の鹿児島県側に相当量の火山灰が堆積しているとし、少量の雨でも土砂流出の危険があると指摘した。

 調査は地頭薗さんのほか、宮崎大学の清水収教授(64)=砂防学=と九地整職員4人が参加。午後2時から約1時間40分、防災ヘリに乗り火口付近を調べた。

 霧島市の鹿児島空港で会見があり、地頭薗さんは粒子の細かい火山灰が斜面に堆積したために、雨水の浸透能力が下がり、地表面を流れる雨水で浸食が活発化していると説明。9、10日に降った雨の影響で、新燃岳と中岳の間にある渓流で、灰混じりの土砂流出が確認されたと報告した。

 今後、雨や台風があれば土砂災害の可能性が高まるとし、砂防堰堤(えんてい)にたまった土砂の除去など対策を急ピッチで進める必要性を強調。「火山活動はいつまで続くか分からない。関係機関は協力して火山灰の堆積状況を監視しながら、市民は雨天時に渓流に近づかないよう注意してほしい」と呼びかけた。

 新燃岳は15日も断続的に噴火を続けた。鹿児島地方気象台によると、14日午後3時38分からの連続噴火は同日午後10時15分に停止。15日は視界が悪く、午前10時40分と午後0時5分に「噴火したもよう」とし、雲が晴れた同3時に連続噴火継続と発表した。午後10時現在も噴火が続いている。

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