横断幕を持って裁判所に向かう原告ら=16日、宮崎市
西之表市馬毛島の自衛隊基地建設によって漁を営む権利が侵害されたとして、地元漁師が国に工事差し止めを求める訴訟の控訴審第1回口頭弁論が16日、福岡高裁宮崎支部(西森政一裁判長)であった。原告の浜田純男さん(70)は、馬毛島周辺で漁をしてきた地元集落に、国は全く相談しなかったとして「このような行為が許されていいのか」と訴えた。国は控訴棄却を求めた。
原告側は控訴理由書で、基地建設に伴い種子島漁協が多数決で漁業権を一部放棄した決議は、馬毛島沿岸に漁業権を持っていた西之表と住吉地区(関係地区)の漁民との協議を経ておらず、同意も得ていないため違法と主張。西森裁判長は、関係地区の「同意がない」とする原告側主張は1審で議論されていなかったと指摘し、国側に反論を促した。次回弁論は11月5日。
原告側は終了後、航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)の騒音問題で国に勝訴した原告らと共に宮崎市内で集会を開いた。馬毛島の基地建設の遅れを受け、防衛省は配備予定のF35Bステルス戦闘機の垂直着陸訓練を新田原基地で実施する方針を打ち出し、地元からは反発の声が上がる。