ゴキブリ捕獲器を模した「ごきハイハイ」も登場する企画展=鹿児島市城山町の県立博物館
嫌われ者の印象が変わるか-。鹿児島市城山町の県立博物館で、「ゴキの真実展」が開かれている。姿や動き、不潔なイメージなどから敬遠されがちな存在を真っ向から取り上げた挑戦的な企画。生態系維持に貢献しているなど知られざるゴキブリの実態を、約20種の生体とともに紹介する。9月7日まで。入館無料。
ゴキブリは世界に4000種以上いるとされ、国内には64種が生息する。野外に暮らす種は朽ち木や落ち葉を食べて分解し、生態系の物質循環に貢献。一部は花粉や種子を運び、植物の繁殖を支えているという。
展示では、生息地や体を丸めるといった得意技を持つ種類などを分かりやすく解説。「ゴキとの闘い」と題したコーナーでは「進行方向の20〜30センチ先を狙う」など退治する際のアドバイスも。中学生以下対象の全長160センチ、高さ60センチの「ごきハイハイ」も登場、駆除される側の気分も味わえる。小さな悲鳴を上げながら生体を観察した鹿児島大学水産学部1年の宮嶋ほまれさん(19)と若山和泉さん(18)は「敵と思っていたけれど、学ぶ機会があって良かった」と話した。
開幕10日間で約2100人が訪れるなど、親子連れを中心に反応は上々という。担当の中峯浩司学芸主事(60)は「嫌いや苦手な気持ちも大いに分かるが、別の面にも目を向けてもらえたら」と語る。