〈資料写真〉原口アヤ子さんのほおに手を当て「次はアヤ子さんの番」と励ます袴田ひで子さん=6月15日、鹿児島県内
福井中3殺害事件の再審公判で18日、名古屋高裁金沢支部は前川彰司さんに無罪を言い渡した。事件発生から39年。同じく長い年月をかけて再審請求を続ける「大崎事件」関係者は「再審制度見直しの機運が高まる」「次は原口アヤ子さん」と喜びの声を上げた。
「判決の読み上げに3時間かけ、検察の主張を細かくつぶす踏み込んだ判断に圧倒された」。再審公判から弁護団に加わった、大崎事件弁護団の鴨志田祐美弁護士は法廷で経緯を見守った。「再審の『同志』が先に無罪のゴールにたどり着いた。大崎事件も第5次請求に向けて突き進む」
無罪判決につながったのは、検察側の証拠開示だった。同事件の弁護団長を長年務める森雅美弁護士は「大崎事件でもまだ隠された証拠があるのでは。証拠開示の義務化は必須だと、改めて実感した」と語る。
17日には、滋賀県の湖東記念病院で2003年に患者が死亡し、殺人罪で服役後に再審無罪が確定した元看護助手西山美香さん(45)が県から約3100万円の損害賠償を勝ち取った。原口さんとも親交があり、6月の誕生日には入所する施設を訪れていた。
原口さんを支援する武田佐俊さん(82)=串間市=は「西山さんに今朝電話で『おめでとう』と伝えた。今日の無罪判決も含め、希望を持てるニュースが相次いだ。再審制度の在り方を見直す動きが一層高まる」と喜んだ。