【鹿児島大雨詳報】霧島市に特別警報 牧之原や溝辺で500ミリ超の記録的雨量 姶良市で1人不明 9日も雨に警戒を

2025/08/08 23:28
橋の欄干にせき止められた流木=8日、霧島市福山
橋の欄干にせき止められた流木=8日、霧島市福山
 北陸地方に大雨をもたらした前線が南下し、鹿児島県本土は8日未明から明け方にかけて線状降水帯が発生し、記録的な大雨となった。気象庁は霧島市に大雨特別警報を発表。同市溝辺で1時間に107.5ミリの猛烈な雨が降った。消防によると、姶良市蒲生町白男では民家の裏山が崩れ、住人の30代女性が行方不明となった。気象庁は8日午後、特別警報を解除したが、9日も大雨の恐れがあり、土砂災害への厳重な警戒を呼びかけている。

 鹿児島地方気象台によると、線状降水帯は2回発生した。8日午前1時7分に姶良市から霧島市にかけて、同4時47分には姶良、霧島の両市と曽於市にまたがる範囲で、断続的に発生したとみられる。

 8日観測した24時間雨量は、霧島市牧之原で515.5ミリ、同市溝辺506.5ミリ。いずれも同地点の観測史上最大で、8月の月降水量の2倍近い雨が降った。霧島市全域と鹿児島市の一部にレベル5の「緊急安全確保」が発令された。県は霧島市など4市に災害救助法の適用を決めた。

 姶良市蒲生町白男で午前4時45分ごろ、「家が崩れて中に取り残されている」と通報があり、30代と60代の女性2人が救助された。同居する30代女性と連絡が取れず、県警と消防が捜索している。同市では水没した車から女性が救助されたほか、網掛川の護岸がえぐられ車が落下した。

 霧島市では、国道504号でトラック2台が橋の欄干を突き破って転落し、運転していた50代の男性2人が軽いけがをした。市街地の広い範囲で冠水し、山間部で2集落が一時孤立。同市溝辺の県民の森キャンプ場では宿泊客40人が一時取り残された。

 県によると、霧島市と姶良市を中心に崖崩れや浸水があり、崩土や路面の損壊で国道や県道が寸断された。両市で450戸が停電し、断水も発生した。JRやバスは運休が相次ぎ、航空便も一部欠航した。

 気象台によると、前線は九州付近に停滞し、9日昼前にかけて活動が活発化する見込み。薩摩、大隅では9日夕にかけ、断続的に雷を伴った非常に激しい雨が降る。薩摩と大隅で予想される1時間雨量は多い所で50ミリ。9日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で、薩摩200ミリ、大隅150ミリ。

■線状降水帯が2回発生/2ルートから暖かく湿った空気

 鹿児島県本土で8日未明、線状降水帯が2回発生した。鹿児島地方気象台は2つのルートから暖かく湿った空気が前線に流れ込んだためと分析している。

 石川県加賀地方で7日に線状降水帯をもたらした前線が、8日にかけて日本海から九州に向かって南下した。九州で停滞した前線に対し、中国大陸からの暖かい空気と日本の南にある太平洋高気圧の縁を回る湿った空気の両方が流れ込み、九州の西の海上で合流。県本土付近では7日夜から、水蒸気を大量に含んだ空気と北側からの風がぶつかった。

 霧島市牧之原では、降り始めから8日午前11時までの雨量が517.5ミリと8月の平年1カ月の2倍近くを観測した。

 真夏は太平洋高気圧の勢力が強いため、前線が九州付近にかかるのは珍しい。前線の位置に影響する偏西風が日本付近で大きく蛇行したこともあり、梅雨の時期に近い気圧配置になった。

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