ニシムタ 公取委立ち入りは2回目…専門家「処分が甘い」――根付いた商慣習、納入業者ら驚き隠さず「当たり前の取引だと思っていた」

2025/09/06 05:53
ニシムタ本社が入るニシムタ与次郎店=5日、鹿児島市与次郎1丁目
ニシムタ本社が入るニシムタ与次郎店=5日、鹿児島市与次郎1丁目
 鹿児島県内小売り大手のニシムタ(鹿児島市)が、不当な協賛金徴収などをしていたとして、公正取引委員会から立ち入り検査を受けていたことが明らかになった5日、納入業者らは「当たり前だと思っていた」と驚きを口にした。ニシムタへの立ち入り検査は2回目で、前回は再発防止を求める排除措置命令を受けていた。専門家は「全般的な優越的地位の乱用の防止が求められていたはず。猛省すべき」と苦言を呈した。

 公取委によると、ニシムタはシステム使用に必要な費用を協賛金と位置付け、業者から「商品管理費」として徴収していた。ただ公取委は「費用の算出根拠や用途を示さないことで、業者側が負担の必要性を判断できない」としている。ニシムタと取引のある卸売業者は「当初から契約内容に含まれており、取引条件と捉えていた」と明かす。

 ニシムタはこのほかにも、新店舗開店時に「開店広告協賛」を徴収。実際は廃止されているにもかかわらず、値札の貼り付け作業の代行費として「物流支援費」も求めていた。

 別の卸売業者には5月中旬、公取委からの調査があったという。少なくとも10年ほどは契約内容が変わっていないといい、担当者は「ニシムタとの関係は良好で、違和感は感じていなかった」と驚く。重要な得意先として、「お互い様という気持ちで、今後も関わっていければ」。ニシムタと20年以上取引がある別の業者は「これからの付き合いもある」と口を閉ざした。

 これらの関係性について公取委は、県内小売り市場で売上高2位を誇るニシムタの立場を重視。取引依存度が大きい業者は「(ニシムタからの)要請を拒めない」として、独占禁止法が禁じる優越的地位の乱用になる可能性を示唆した。

 公正取引委員会元審査長で早稲田大学法学学術院の中里浩准教授(54)=独禁法=は「独禁法違反の疑いが2回目という点を考慮すると、処分が甘い」と話す。公取委が今回適用した「確約手続き」は迅速な処理や終結を優先するあまり、違反行為の期間や取引先数について、企業の申し出が優先されがちという。

 過去3番目の多さとなった返金額は評価しつつ「違反が認定され課徴金となれば20億円を超えてもおかしくない案件。それより少ない返金額でニシムタの『やり得』になるのではないか」と指摘した。

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