電気を船で運ぶ? 屋久島から種子島へ、電気運搬船で離島の脱炭素化狙う 海上パワーグリッドが2028年運航目指す

2025/09/06 17:00
電気運搬船のイメージ(海上パワーグリッド提供)
電気運搬船のイメージ(海上パワーグリッド提供)
 電気運搬船事業の海上パワーグリッド(東京都)は5日までに、屋久島電工(鹿児島県屋久島町)の水力発電でできた電気を、船で種子島に運ぶ事業検証を始めた。今後、両島の港で船を受け入れる準備に取りかかり、2028年ごろの運航開始を目指す。同社によると、全国初の取り組みとなる見込みで離島の脱炭素化につなげる狙い。

 運搬船には蓄電池を搭載しており、電気を海上輸送できる世界初の手段とされる。水深が深いなど海底ケーブルの設置が難しい場所にも電気を運べるのが利点という。運航する船は長さ約90メートル、幅約18メートル。電池の容量は120メガワット時で、1万1000世帯1日分の使用量に相当する。

 重油を燃料とするディーゼル機関の内燃力発電で電気が賄われている離島に、屋久島でつくった再生可能エネルギーを運ぶことで脱炭素化を目指す。種子島への輸送事業を実施しながら、口永良部島のほか、三島村と十島村の一部といったほか6地域への展開も検討する。

 屋久島町は島で使うほとんどの電気を水力発電で賄う。一方、発電能力が島の需要量を上回っており、周辺離島に送電することで設備稼働率を高め有効活用したい考え。同社は将来的な電気料金の値下げにつながる可能性があるとした上で「島から島に電気を送れるのが特徴。電気運搬船事業をより大きな取り組みにするためのきっかけになればいい」とコメントした。

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