鹿児島県初の女性消防団長は音楽講師――得意を生かして活動の幅を広げてきた約20年の歩み 「市民に愛される強い団をつくる」

2025/09/07 07:00
薩摩川内市消防団長に就任した宮里英子さん
薩摩川内市消防団長に就任した宮里英子さん
■かお・鹿児島県内初の女性消防団長 宮里 英子(みやざと・えいこ)さん

 1100人を超える薩摩川内市消防団のトップに4月に就任した。各種訓練への参加や災害対応のほか、県内初の女性消防団長として人前で話す機会も増えた。「和」を重視していることを強調し、「市民に愛される強い消防団をつくっていきたい」と決意を語っている。

 同市出身。2002年に旧川内市初の女性団員7人の1人として入団した。当初は男性団員の遠慮もあったようで、活動は詰め所番などに限られた。

 転機は数年後に参加した全国の女性団員が集う大会。他の団の工夫を凝らした取り組みに刺激を受けた。女性団員同士で意見を出し、防火を呼びかける紙芝居を制作したり、ハンドベル演奏をしたりした。ほかに出初め式でポンプ操法の披露や、火災現場での後方支援などでも存在感を示してきた。

 市消防団は2年に1度開いてきた消防操法大会を、24年度に続いて26年度も見送る。団員の負担軽減が理由だが、消防力の維持が課題だ。「若手へ技術を伝え、それを市民に披露する機会もつくって、なり手の確保にも努めたい」と力を込める。

 小学生の時にピアノを習い始め、ずっと音楽のある暮らしをしてきた。通信で短大在学中に資格を取得。ピアノや歌の講師をしながら団長業務に励む。得意を生かし、町火消しの伝統を引き継ぐ「木遣(きや)り唄」の出初め式での披露にも貢献した。

 子ども3人を育て上げ、薩摩川内市高城町に夫と2人で暮らす。6人の孫が癒やしという60歳。

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