知床沖の沈没事故が影響、夫婦2人の島暮らしが危機に… 鹿児島市・新島唯一の定期航路廃止に反対署名提出

2025/09/07 06:00
桜島と沖合にある新島を結ぶ行政連絡船存続を求める署名を提出する佐々木直行さん=鹿児島市役所
桜島と沖合にある新島を結ぶ行政連絡船存続を求める署名を提出する佐々木直行さん=鹿児島市役所
 鹿児島県桜島沖の新島の再生に取り組むNPO法人「ふるさと再生プロジェクトの会」は1日、同島と桜島を結ぶ鹿児島市の行政連絡船「しんじま」存続を求める約1万5000千人分の署名を下鶴隆央市長宛てに提出した。

 同法人と住民代表の佐々木直行さん(72)の連名で継続を要望、直営が困難な場合は民間委託して現行と同じ週9往復の運航を求める。署名は6月下旬から街頭やインターネットで集めた。

 同法人の東道也代表(69)は「貝の化石層や植物など学術的にも非常に貴重な島。小中学生の自然学習のためにも低額の交通手段は必要」と訴えた。

 北海道・知床半島沖で起きた観光船の沈没事故を受けて改正された海上運送法で必要となった安全統括管理者の確保が困難として、市は行政連絡船の来年度以降の廃止を視野に検討する。佐々木さんは「連絡船がなくなれば生活の根底が狂い、広がってきた認知度も一気にしぼんでしまう」と継続を願った。



 鹿児島市桜島横山町の桜島公民館で7月29日夜、「市長と語る会」があった。桜島と沖合の新島を結ぶ行政連絡船「しんじま」について、下鶴隆央市長は「今後の海上運送法下で運航を続けることはできない」と語り、2026年度以降の廃止も含めて検討するとの立場を改めて示した。

 語る会には、地元のNPO法人など7団体24人が参加。新島活性化に取り組むNPO法人「ふるさと再生プロジェクトの会」のメンバーが「自然体験に来る小中学校の団体も行政連絡船を使う」と継続を要望した。下鶴市長は、24年度に施行された改正海上運送法で運航を管理する安全統括管理者の要件が厳しくなったと説明。「新島には2人の島民がいる。足を確保するため、市として最大限の努力をしたい」と理解を求めた。

 会には存続を訴えてきた新島に住む夫妻も出席。市長の発言に対し、「言葉はありがたいが、納得はできない」と話した。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >