子どもや女性に赤土をつけて回る仮面神「ボゼ」=7日午後5時すぎ、鹿児島県十島村悪石島
災厄や穢(けが)れを払うとされる仮面神ボゼが島を暴れ回った。鹿児島県十島村悪石島の「ボゼ祭り」。例年以上に盛り上がり、観光客らも湧いた。「島に活気を呼び込んで」-。島民たちが一丸となり開催した祭りには、復興への思いが託されている。
ボゼ役を務めたのは島の男性3人。子どもや観光客らを約15分間追いかけ回し汗びっしょりになった。30代男性は「島の誰もがボゼを絶やしてはならないと思っている。観光客が多数来てくれ気合が入った」。
島では7月3日に震度6弱を観測。同4日から8月上旬にかけ、最大56人が鹿児島市内などに避難するなど不安な日々が続いた。観光ツアーは、地震活動が落ち着き、住民の賛同が得られたため実施。定員50人に対し県内外から約160人の応募があったという。
福岡県から訪れた公務員宇都宮花菜子さん(27)はボゼから腕などに土をつけられ「元気をもらった。島の人も楽しんでいていい祭り」と笑顔。観光客らは、「一日も早い復興に向けて頑張って」「共に頑張ろう」などと色紙に寄せ書きし自治会に手渡した。
ボゼ祭りの会場では伝統の盆踊りもあり悪石島学園の子どもらが元気に踊った。盆踊り保存会の有川和則会長(73)は「子どもたちもボゼも元気がよかった。地震が続いてもボゼの力で島を守ってくれるはず」と期待した。