評判悪かった鹿児島の土曜授業が毎月から年3回に――先生「休める」保護者「なくなっても子どもの成績下がらない」

2025/09/11 15:00
 鹿児島県教育委員会は10日、県内の公立小中・義務教育学校で月1回実施している土曜授業について、来年度から年3回程度までに見直す新方針を市町村教委に通知した。過剰な授業時数を適正化するための一環としている。

 文部科学省の調査によると、2024年度に年間総授業時数が、標準を大幅に上回る教育課程を編成した県内の小学校は35.4%、中学校は29.5%。いずれも全国平均を倍近く上回っている。県教委によると、台風など災害に備えて予備時数を設ける学校が多いことなどが背景とみられる。

 今回の通知で県教委は、土曜授業や学校行事を精選する必要があるなどとして見直しを促している。疋田哲朗義務教育課長は「柔軟な教育課程編成に改善し、児童生徒や教員の負担軽減につなげてもらいたい」と話す。

 土曜授業は15年度に県内全43市町村で導入された。25年度は各校で年4~9回実施される見込み。26年度以降は、各市町村教委が実施の有無を判断し、学校は教育課程に反映させる。

 文科省の全国調査によると、24年度に土曜授業を実施した小学校は14.7%、中学校は15.6%。九州各県に取材した結果、鹿児島のように全県一斉に実施している自治体はなかった。熊本、北九州市も同様で、福岡市は25年度、全校で年2回行っている。



 鹿児島県教育委員会が、土曜授業を年3回程度に減らす方針を示したことについて、教員や保護者から歓迎する声が上がった。一方、学校現場の負担軽減につながるか疑問符を付ける見方や、地域との連携に影響が出ることを懸念する関係者もいる。

 鹿児島市の40代女性教諭は「休めることはうれしい。学力向上のために導入したはずなのに、行事をやることが多い。3回残す必要があるのか」と首をかしげる。鹿屋市の40代男性教諭も「土曜授業の翌日に部活動の大会があると、教員も生徒も出ずっぱり」と全廃を求める。期限内に振り替え休日を取れず、休んだことにして出勤するケースも耳にするという。

 県教職員組合は「児童生徒や教員の負担軽減に向けた大きな前進」と評価する。2022年に実施した教職員アンケートでは、回答した1834人のうち、土曜授業は「なくてもいい」が84.3%に上った。田中誠書記長(54)は「過重な業務がしっかり改善されるかが大切」と語る。

 中学2年と小学6年の子を育てる南種子町の女性(49)は、3年前に県外から転入し土曜授業があることに驚いた。「子どもたちは1週間が長く感じているようだ」と話し「廃止しても学力に影響が出るとは思わない。学校以外で経験を積むほうがいい」と見直しを歓迎する。

 鹿児島市内では年7回実施している学校が多く、地域と連携して、引き渡し訓練や農業体験などに活用してきた。市教委学校教育課の竹下直大課長は「保護者や地域住民が参加しやすく、それが土曜授業の趣旨でもあった」と意義を強調する。回数が減る中で、地域連携の活動を継続するには「工夫が必要になるだろう」と話した。

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