英軍ヘリから落ちた窓は、シングルベッド上回る広さ…「一歩間違えれば重大事故」――落下海域は頻繁に船が往来、10数キロ先には生活空間 県民に不安や嘆き

2025/09/12 06:18
〈資料写真〉飛行中に窓が落ちたヘリの同型機(イギリス海軍ホームページより)
〈資料写真〉飛行中に窓が落ちたヘリの同型機(イギリス海軍ホームページより)
 英軍のヘリコプターAW101の操縦席左側の窓が10日午後2時40分ごろ、鹿児島湾に落下した。窓は長さ1.5メートル、幅2.5メートルで見つかっていない。ヘリは鹿児島空港(霧島市)へ緊急着陸した英軍戦闘機のパイロットを輸送するため飛来していた。防衛省によると、被害の情報は入っていない。

 落下した操縦席の窓はシングルベッドの広さを上回るサイズで、一歩間違えれば重大事故につながる可能性もあった。県民からは11日、「あんな大きな窓が落ちるなんて」「住民の安心安全を軽視して軍事協力を推し進めても平和は築けない」と不安や嘆きの声が上がった。

 海沿いに位置する鹿屋市高須町内会の上原義史町内会長(64)は「十数キロ先には生活空間が広がっている。ずれたらどうなったのか。海上は船の往来が多く、被害が出てもおかしくなかった」と指摘する。発生から防衛省が県に連絡するまで約5時間半、県の公表にさらに約4時間かかった。「住民が知らないところで何かあるのが一番困る。できるだけ早く丁寧に説明してほしい」と注文した。

 政府は、他国との防衛協力推進を安全保障政策の柱の一つに掲げる。防衛省によると、英国は欧州で最も重要な安全保障上のパートナー。中谷元防衛相は英国の国防相と8月に会談し、今回のヘリを搭載する空母を中核とする空母打撃群の日本寄港を歓迎した。

 社民党県連合の川路孝代表(78)は10日、自衛隊と米海兵隊の実動訓練に反対するため県庁を訪れ、軍備拡張に警鐘を鳴らしていた。「国民の議論がないまま軍事協力が拡大している。武力で平和を築けないのは歴史の教訓だ」と強調。「すぐ発表すれば目撃情報が集まり、原因究明につながったかもしれない。住民の安心安全を考えていない」と憤った。

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