井尻トミエさん=姶良市北山
鹿児島県内で2025年度に100歳となる高齢者は、女性940人、男性163人の計1103人(9月1日現在)。戦時下に青春を過ごし、戦後復興や高度経済成長を支えてきた。社会の在り方や経済、価値観が大きく変化した激動と変革の1世紀をしなやかに生きてきた方を紹介する。
■井尻トミエさん=姶良市北山
6年前、誕生祝いにもらった六面立体パズル「ルービックキューブ」に夢中になった。両手で動かし各面の色をそろえようと格闘する日々。そして3年後、97歳の誕生日に“快挙”を達成する。同居する長女朝子さん(75)に「合った!」と言って全面そろったのを誇らしげに見せたのだ。
「どうしたら合うかなと考えるのでボケ防止になる。指の運動にもなる」。今も2度目の「合った!」に向けて挑み続ける。ただ、「合えばやめるから、合わない方がいい」とも。
40代の頃、夫を病気で亡くした。3人の娘を育て、養蚕、冠婚葬祭会社の営業、ゴルフ場の掃除などの仕事をした。グラウンドゴルフは数年前にやめたが、今も朝、庭や畑の草取りに精を出す。勢いづいて2時間以上やることもある。
テレビで大相撲を見るのが好きで、ひいきの宇良や明生には「イケー」「押せー」と叫ぶ。カラオケに行くのも好きで、おはこは三波春夫の「俵星玄蕃(たわらぼしげんば)」だ。
「100年、いろいろ苦しいこともあったが、今を楽しく生きられればいい」。最近、要介護認定が「要介護1」から「要支援2」に改善した。まだまだ楽しい人生は続く。