女性が暮らしていた住宅=16日午後3時、鹿児島市田上台4丁目
鹿児島市田上台4丁目のアパート経営の女性=当時(73)=が自宅で殺害された強盗殺人事件は17日で発覚から25年。目撃情報や物的証拠に乏しく、容疑者逮捕に至っていない。現場周辺でも事件を知る人が少なくなり、風化が懸念される。県警捜査本部(本部長・鶴田忍刑事部長)は16日、鹿児島西署で検討会を開き、街頭で情報提供を呼びかけた。
事件は2000年9月17日午前9時すぎ、2階の寝室で殺害されている女性を友人女性が見つけ発覚。タオルで猿ぐつわをされ、ひもで両手首を縛られていた。死因は首を絞められたことによる窒息死。室内に物色の跡はあったが、貴金属や通帳は残っていた。
1人暮らしだった女性の交友関係が判然とせず、目撃証言も乏しかった。県警は強盗目的か怨恨(えんこん)か、動機を絞れていない。周辺の防犯カメラの保存期間が切れたり、聞き込み対象の住民や関係者が年々減ったりしていることも捜査を難しくしている。
現場の2階建て住宅は今も残る。老朽化が進み、周囲には雑草が茂っていた。発生当時の様子を鮮明に覚えているという近くの女性は「25年間で住民の多くが入れ替わった。事件が住民の話題に上がることは一切ない」と話した。
署によると、県警は延べ約7万8500人の捜査員を投入。現在は署刑事1課1人、本部捜査1課5人の計6人が専従で担当し、寄せられた情報の掘り下げ捜査などを進めている。24年は5件、25年は8月末までに1件の情報が寄せられた。25年で約200人が捜査線上に上がった。
16日の検討会は非公開で、捜査幹部ら約15人が今後の捜査方針などを話し合った。終了後、警察官約20人が、鹿児島市のJR鹿児島中央駅周辺で情報を求めるチラシ250枚を配った。
署の重田克久刑事官は「県警にとって最重要未決事件の一つ。被害者の無念を晴らすためにあらゆる捜査を尽くし、必ず摘発する。ささいな情報でも提供してほしい」と話した。署捜査本部=099(285)0110。