７月の参院選で自民党候補者に投票する見返りとして報酬の支払いを約束したとされる公選法違反容疑事件で、鹿児島県警など１都７県の合同捜査本部は１６日、鹿児島市のパチンコ会社「モリナガ」の店舗従業員１０７人にも約束したとして、公選法違反（買収約束）の疑いで、同社社長で韓国籍の男（５０）＝東京都港区＝ら３人を再逮捕した。全８店で約束した疑いがある。

　再逮捕容疑は、モリナガ各店の店長らと共謀し、７月初旬から中旬ごろ、従業員１０７人に、パチンコ店の全国組織「全日本遊技事業協同組合連合会」の理事長で、自民党から比例代表で立候補した阿部恭久氏（６６）＝落選＝に投票すれば報酬３０００または４０００円を支払うと約束した疑い。

　捜査本部によると、社長の容疑者は関連会社「デルパラ」の社長も務める。他に再逮捕されたのは、同社営業本部長でモリナガ専務の男（４６）＝千葉県市川市＝と、デルパラ管理本部長の男（４４）＝鳥取県米子市。３人の認否は明らかにしていない。

　鹿児島県警によると、社長の指示を受けた部長２人が７月３日、店長らを集めたウェブ会議を実施。期日前投票所で阿部氏の名前を書いた投票用紙の写真を撮影させ、各店長が集約してデルパラ本社（港区）に送るよう求めた。モリナガの店長や従業員は任意で在宅捜査中。聴取に対し複数の店長は「本社（デルパラ）からの指示に従わざるを得なかった」と話しているという。報酬が支払われたケースはなかった。

　捜査本部は８月、デルパラ従業員ら６０人への買収約束容疑で今回の３人を含む同社幹部６人を逮捕。９月５日には別のデルパラ従業員ら３６人に対する同容疑で追送検した。計２５０人以上に投票を求めたとみて調べている。