鹿児島大も「待った」かけた上、資材高に人手不足…県内最大規模の風力発電、採算合わず事業ストップ 豊田通商子会社

2025/09/17 06:20
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 鹿児島県垂水市の高峠周辺で、風力発電事業を計画していた豊田通商子会社のユーラスエナジーホールディングス(東京)が、事業を中断したことが16日、分かった。資材費や労務単価の上昇で採算性の確保が難しくなったため。事業実施想定区域の大半を所有している鹿児島大学から、計画を認めない通知を受け、見直しを検討していた。

 同社によると、当初の想定区域は陸上で県内最大規模となる2380ヘクタールで、約8割を鹿大の高隈演習林が占める。定格出力4000〜6000キロワット級の風車を最大32機設置。総出力は最大約19万2000キロワットを見込み、2026年着工、29年運転開始を目指していた。22年に、環境影響評価(アセスメント)の手続きの第1段階となる配慮書を公表した。

 鹿大は「教育・研究に支障を及ぼす可能性がある」として、23年に利用を認めない通知を送付。同社は規模縮小などを検討していた。

 広報は「採算のめどがついた場合、計画を再開する可能性もある」とする。具体的な時期や再開する基準は決まっていないという。担当者は「期待していた方には迷惑をかけている。地域との共生を引き続き大切に、再生可能エネルギーの普及に貢献していきたい」と話した。

 風力や太陽光など再生可能エネルギーを巡っては、政府が主力電源化を目指しているが、開発に伴う環境への影響が懸念されている。資材や人件費高騰で、事業者が撤退を迫られるケースもある。

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