8000円の花火大会有料席、目の前の木でほぼ見えず 公式サイト「真正面から観覧できる」 利用者の苦情にも払い戻しせず 鹿児島市

2025/09/18 14:30
木が視界を遮る有料観覧席から20代女性が撮影した動画の一部(読者提供)
木が視界を遮る有料観覧席から20代女性が撮影した動画の一部(読者提供)
 「『花火を真正面から観覧できる』とうたう有料席なのに、ほとんど見えなかった」-。8月23日に鹿児島市の鹿児島港本港区であったかごしま錦江湾サマーナイト大花火大会の来場者から、南日本新聞に声が寄せられた。原因は有料席前方の木。大会実行委員会事務局の同市は「木で見えづらいとは想定していなかった。不快な思いをさせて申し訳ない」としたが、払い戻しはせず、来年に向け配置を精査するとした。

 同市の20代女性が自席から撮った約30秒の動画では、ほとんどの花火が前方の木に隠れていた。女性が購入したのは、ウオーターフロントパーク(WFP)内の芝生部分に設けられた8000円のB席。1.8メートル四方の定員4人の升席で、場所は選べず、購入順に割り振られた。WFPの海側には高さ約6メートルと約10メートルの木があり、女性の席は約6メートルの木の後ろに位置していた。

 女性は「目玉の2尺玉はきれいに見えたが、7~8割の花火の一部や全部が木で遮られた。公式サイトに『花火を真正面から観覧できる』と書いてあったから購入したのに」と憤る。指定席で移ることもできず、その場で見続けるしかなかったという。女性は翌日、市に電話で苦情を伝えた。

 実行委事務局の市観光振興課によると、B席は昨年、海側階段のA席とともに新設し、配置は2本の木を考慮した上で設定した。「設営業者に測量を依頼し、角度的に大丈夫なのではと判断した」とする。B席は前年より約60席増やし1300席を用意したが、木の周りは前年と同じ配置で「昨年は見えづらかったという意見は把握していなかった」と説明した。

 花火は例年通り、台船3隻と沖の防波堤2カ所から打ち上げた。配置図で見ると、中央に位置する台船が女性の席と6メートルの木の延長線上にある。動画を確認した同課は、この船から打ち上げた到達高度が低い3~5号の花火が見えにくかったと推測する。同課の安田直高課長は「貴重な意見を今後の運営に生かしたい」と話し、今後来場者アンケートなどを基に席配置を精査する考えを示した。

 市は後日、女性に謝罪したが、払い戻しなどは行わないという。女性は「もう1本の高い木も枝が広がっており、見えにくかったのでは」と指摘する。「木の後ろに連なる席は販売しない方がいい。販売するならしっかり確認するか、『花火が見えづらい席もある』との記載が必要では。せっかくの花火をみんなが楽しめるようにしてほしい」と話した。

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