震度5弱――トカラ列島・諏訪之瀬島の地震は「火山性」 19~20年と同じ震源、専門家「マグマ活動によって引き起こされた」

2025/09/19 06:27
〈資料写真〉諏訪之瀬島
〈資料写真〉諏訪之瀬島
 震度5弱の地震を17日夜に観測した鹿児島県十島村諏訪之瀬島では有感地震が相次ぎ、18日は午後10時までに震度3~1を12回観測した。気象庁は、悪石島などで6月21日から続く群発地震とは震源地、メカニズムともに異なる火山性地震とみており、今後1週間は震度5弱程度の地震に注意するよう呼びかけている。村によると、けが人や建物被害の情報は入っていない。

 気象庁によると、震源地は島の南西部や西部に集中している。震度5弱の地震は、岩盤を割るような破壊的エネルギーが加わったと考えられるが、原因や火山活動との関連については「精査中」としている。噴火活動が続く御岳(799メートル)では、活動に特段の変化は認められず、噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)を継続している。

 鹿児島地方気象台は、特に今後2~3日は、規模の大きな地震が起こる恐れがあるとして、落石や崖崩れ、屋内の落下物などに注意を呼びかけている。

 震度5弱は17日午後9時55分ごろ発生。村は18日、職員2人を鹿児島市発の村営船で19日派遣すると決めた。島民から意見や要望を聞き取るほか、道路、港湾などに異常がないか調べる。40世帯67人がいるが、18日午前9時半までに、島民や建物、ライフラインに被害がないことを確認した。



 震度5弱を17日に観測した諏訪之瀬島について、福岡管区気象台は島の西側で火山性地震が増加しているとして警戒を呼びかけている。悪石島近くの群発地震とは震源域が異なり、専門家は「諏訪之瀬島の御岳の火山活動が高まる可能性がある」と指摘する。

 火山性地震には、噴火に伴うものと、噴火していなくてもマグマの動きに関連して火山周辺で発生するものがある。活断層やプレートが動くことで起きる通常の地震とは異なる。

 京都大学の井口正人名誉教授(理学)は「諏訪之瀬島では2019〜20年に地震が多発し、地盤変動も確認された。その後に御岳で非常に活発な噴火活動があった」と解説。今回の震源は当時と同じで、「マグマ活動によって引き起こされた地震だ」と分析する。

 マグニチュード4.7と推定される今回の地震は、過去20年で同島では最大規模で、今後も同程度の地震が起きる可能性はあるという。「火山の活動期の一つとしてみた場合、地震活動はしばらく続くことが考えられる」と推測する。

 気象庁は、御岳火口の噴火活動に特段の変化は認められないとして、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)を継続。井口名誉教授は「(火山性の)群発地震を想定して監視を続けるとともに、その後の噴火活動が活発化することも含めて警戒すべきだ」と強調した。

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