故渡邊君江さん(遺族提供)
養女2人を育て、6月に91歳で亡くなった渡邊君江さん=鹿児島県南さつま市加世田ハーモニー=の洋裁作品展が、市役所市民ふれあいギャラリーで開かれている。企画した次女の中村真琴(まこ)さん(49)=同=は「愛情深い母のぬくもりを感じてほしい」と呼びかける。30日まで(平日のみ)、無料。
長崎県生まれの渡邊さんは洋裁学校を卒業後に福岡県で結婚。子どもに恵まれず、42歳の時に生後間もなかったダウン症の香代子さん、2年後には乳児院にいた1歳の中村さんを養女として迎えた。72歳の時、結婚後の中村さんが住む南さつま市に福岡県から移住した。
タイトルは「キミエノヨフカシ展」。子育てをしながら夜更けまで制作に没頭したことから名付けた。パッチワークや編み物など22点のほか、愛用した手芸道具と家族写真が並ぶ。ひな人形を子どもに見立てたパッチワークから子煩悩な人柄がうかがえる。作品「こいのぼり」には、子どもの日にかしわ餅を作ってくれた思い出を家族が書き添えた。
開催前日の15日、遺族や市民ギャラリーを運営するNPO法人「プロジェクト南からの潮流」のメンバーら6人で会場を設営した。中村さんは「この家族でしか得られなかった日々は大切な宝物。母がみんなの幸せを願い、一針一針縫った作品を見てほしい」と話している。