民生委員また欠員か…3年に一度の改選、どうなる「地域の相談役」――働く高齢者増え若い世代に期待かかるが、40代以下は3%足らず 鹿児島市

2025/09/24 06:47
民生委員の候補者選考に関して6月に開かれた説明会=鹿児島市
民生委員の候補者選考に関して6月に開かれた説明会=鹿児島市
 3年に一度実施される12月の民生委員・児童委員の一斉改選に向け、鹿児島市職員や学識経験者などでつくる推薦会は、候補者の選考作業を進めている。同市では4月時点で定員1068人に対して33人が不足し、現状では来期も欠員が出る可能性が高い。主管する市地域福祉課は「企業の定年延長などにより、なり手が不足している。やりがいや役割を広く周知し、欠員が生じないようにしたい」としている。

 民生委員は、高齢者など地域住民の相談に乗ったり、福祉サービスを受けられるよう情報提供したりする非常勤の特別職地方公務員。報酬はなく、年15万5000円の活動費が支給される。社会的に孤立した住民に寄り添う活動の大切さを評価する声もある一方で、働く高齢者の増加や業務負担の大きさから、担い手不足が全国的に問題となっている。

 候補者は、民生委員や町内会、学識経験者らでつくる地区選考会が選び、行政や教育関係者で構成する推薦会が決定する。最終的には、鹿児島市長からの推薦を受けた厚生労働相が委嘱する。子育て世帯の相談に乗る児童委員も兼ねる。

 同課によると、市内50地区の委員の平均年齢(4月時点)は69歳。40代以下は24人のみと高齢化が進む。市は6月から地区別説明会を開くなど候補者の掘り起こしを続けてきたが、9月に入っても「欠員ある地区が多い」と明かす。

 今回の改選では約250人の退任が想定される一方で、新任候補者は220人ほどにとどまる見込み。定年延長や地域コミュニティーの希薄化で候補者の把握自体が難しくなっている。

 経験者からは「福祉について学ぶ機会になった」「子どもたちに顔を覚えてもらった」などやりがいが感じられたとの声も多い。市民生委員児童委員協議会の出雲信明会長(76)は「多くの仲間もおり、仕事を持ちながらも楽しく活動できる。若い人にも関心が広がってほしい」と話している。

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