構想60年…都市計画道路、未着手のまま「廃止」へ――戦前以降でも初の珍事 鹿児島市が人口減少受け、見直し

2025/09/26 05:55
鹿児島市役所
鹿児島市役所
 鹿児島市は、都市計画決定された道路のうち長期間未着手となっている路線の廃止や変更を盛り込んだ「市都市計画道路見直し基本方針」を策定した。60年前に決定された吉野地区の「中別府菖蒲谷線」など3路線6区間は計画を廃止する。人口減少や財政状況などの社会情勢の変化を受けて初めて見直した。

 街路整備課によると、都市計画道路の見直しは1927(昭和2)年に最初の計画が決定して以降初めて。整備未完了の25路線を対象に3年ほど前から必要性を再検討し、9月に基本方針をまとめた。19路線30区間で詳細検討が必要とし、道路混雑の緩和やネットワークへの寄与、防災上の機能などを点数化し評価した。

 廃止の3路線は中別府菖蒲谷線のほか、鴨池新町線と皇徳寺山之田線(一部)。中別府菖蒲谷線は両地区間の約2.2キロを幅12メートルの道路でつなぐ計画で65年に都市計画決定された。60年未着手のまま廃止となる。

 鴨池新町線については、県庁南駐車場横の片側1車線の現市道で車線を増やす計画を廃止し、現状のままとする。皇徳寺山之田線の一部も同様に、既にある片側1車線の市道部分の拡張計画を廃止とした。

 見直しではほかに事業実施に課題がある9路線9区間を変更路線に、18路線26区間を存続路線に位置付けた。市は今後、廃止・変更路線について、見直し経緯などを住民に説明する。合意が得られれば都市計画変更の手続きを進める。

 市内の都市計画決定された道路は24年3月末時点で152路線244キロ。進捗(しんちょく)率は86%。同課の新川智裕課長は「今後は財政状況などを踏まえ、整備に向けた取り組みを進めたい」と話した。 

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