内部は「灯油並み」…頻発する“モバイル充電”火災、鹿児島でも発生 高温に放置、充電しすぎもNG「リチウムイオン電池」

2025/09/29 06:00
再現実験で発火するリチウムイオン電池搭載のモバイルバッテリー(製品評価技術基盤機構提供)
再現実験で発火するリチウムイオン電池搭載のモバイルバッテリー(製品評価技術基盤機構提供)
 モバイルバッテリーなどリチウムイオン電池を搭載した製品の発火事故が相次いでいる。充電して繰り返し使える便利さから普及したが、熱や衝撃に弱く、国は事故防止へ対策を強化する。鹿児島県内でもごみ処理施設で発火事例が毎年あり、自治体は分別ルールの順守徹底を求める。

 リチウムイオン電池は小型で容量が大きく、スマートフォンや携帯扇風機、ワイヤレスイヤホン、携帯ゲーム機、空調服などに幅広く内蔵されている。

 製品事故を分析する製品評価技術基盤機構(NITE、東京)がメーカーや自治体から報告を受けたリチウム電池搭載製品の発煙や発火の事故は、2020年の293件から年々増加。24年は492件で、うちモバイルバッテリーが最多の123件(25%)に上った。モバイルバッテリーの事故は5年間で361件あり、336件(93%)が火災になったという。

 NITEや県によると、リチウムイオン電池の内部は「灯油並み」とされる可燃性の電解液で満たされている。高温下に放置して熱を持ったり、落下などで強い衝撃が加わったりすると内部がショートし、発火や破裂につながる。充電のし過ぎも原因になり得る。

 県消防保安課は、安価な輸入製品には粗悪品や改造品が含まれる場合があるとして、身の回りの電気用品に安全基準達成を示す「PSEマーク」があるか確認するよう促す。

 発火事故は航空機などの交通機関やごみ処理施設でも続発する。国土交通省は7月、モバイルバッテリーを機内の座席上の荷物棚に入れず、充電する場合は常に目の届く位置に置くよう協力要請を開始。8月には経済産業省がモバイルバッテリーとスマホ、加熱式たばこの製造事業者らに回収とリサイクルを義務付ける方針を決めた。

 鹿児島市の北部清掃工場では、粗大ごみとプラスチックごみのピットから出火する火災が22年以降、毎年1、2件発生している。ごみに交じった電池や電子機器が衝撃を受けて発火したとみられる。市は今年1月に専用の収集日を新設した。資源政策課の内村一夫課長は「収集車内で火災が起きれば人命に関わる。可燃ごみやプラごみに安易に交ぜないでほしい」と訴えた。

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