ついに女子の携帯番号をゲット!初めて届いたメールは…ユキコガサトルクンノコトキニナッテルッテ(連載 サンシャイン池崎の「イケザキクエスト第30話」)

2025/10/02 11:30
初めて女の子の携帯番号をゲットし、イケザキは雄たけびを上げそうなくらい喜んだ
初めて女の子の携帯番号をゲットし、イケザキは雄たけびを上げそうなくらい喜んだ
 僕の人生初の携帯電話は、ボタンの部分がフタで隠れているタイプだった。

 色はなぜか薄いピンクで、大学入学のタイミングに親に買ってもらったものだった。この携帯に、記念すべき初めての携帯番号が登録されるのだ。

 当時は赤外線通信というもので携帯番号を交換していた。携帯電話の一部に黒い部分があって、そこを交換する相手の携帯電話と近づければ、お互いの番号が交換できるというものだ。とにかく交換したい気持ちが強過ぎて、携帯同士をすり付けたりしていた。

 こうして僕は無事、人生初の女の子の携帯番号をゲットした。人生における革命的瞬間だった。何が革命って、いつでもどこでも女の子に連絡できるってとこだ。

 高校生のときは携帯電話なんてなかったから、気になる女の子に連絡するには、その子の家に電話するしかなかった。当然、相手の親が出るリスクがめちゃくちゃ高かった。

 親が電話口に出る→家族内で「池崎がうちの娘にほれてる」とうわさになる→田舎なため、すぐに近所に知れ渡る→同級生の耳に、サンシャIN。これが電話したその日のうちに起こるだろう。

 高校卒業式の日をはっきり覚えている。クラスに好きな人がいて、もう二度と会えなくなるかもと思い、連絡網に載っているその子の家に電話したことを。

 プルルプルル。

 ガチャ。

 「もしもし、児島ですが」

 「すいません、間違えました」

 ガチャ。

 親が出た瞬間、すぐに間違い電話のフリをするという所業だ。家からかけると、自分の親にバレるので、公衆電話からかけた。あの時、連続間違い電話のふりをして使った50円が、この世で一番迷惑な使い方だったと思う。相手に思いを伝えることもできず、片思いで終わってしまった。

 それが携帯なら、ノーリスクで電話できるのだ。しかもメールが送れるようになった。

 ただし、当時のメール機能は漢字も使えなくて、カタカナしか送れなかった。しかも文字数制限があって、短い文章しか送れなかった。

 なぜか文の最後には名前を入れなくてはいけなくて、サトルと入れるか、無難にイケザキと入れるか迷ったものだ。何文字入力できたかは忘れてしまったが、2、3行しか書けなかった。

 そのため限られた文字数で、可能な限り思いを伝えていたと思う。送るのにだって料金もかかる。だからこそ届くとうれしいし、文章に悩みながら返信するのも楽しかった。なかなか届かないときは、センター問い合わせを何度もやった。一体センターって何だったんだ。

 ダンスパーティの次の日メールが届いた。

 ユキコガサトルクンノコトキニナッテルッテ サオリ。

つづく

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