ラ・サールから東大へ「社会の医者になりたい」と官僚に――中小企業庁長官が「不可欠」と断言する日本経済復活への鍵

2025/09/29 17:00
中小企業庁の山下隆一長官
中小企業庁の山下隆一長官
■かお・経済の持続的成長を目指す中小企業庁長官の山下隆一(やました・りゅういち)さん

 日本経済は今、デフレから完全に脱却できるか正念場を迎えている。鍵を握るのは企業の9割以上、雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者。昨年7月から中小企業庁長官を務め、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」への移行を目指す。

 1989年に通商産業省(現経済産業省)入り。7年目の課長補佐時代、自社株をあらかじめ決めた価格で買える「ストックオプション制度」導入に奔走した。前例のない議員立法での商法改正にも携わり、「若手でもチャレンジさせてくれる組織。自信につながった」と振り返る。その後も、バブル崩壊後の不良債権処理で産業再生機構の設立や、出光興産と昭和シェル石油の合併に関わった。「再生・再編」が得意分野だ。

 鹿児島県志布志市出身。小学生の時は水泳で活躍した。中学2年で親元を離れて鹿児島市の城西中学校へ。ラ・サール高校から東京大学法学部に進み、「社会の医者になりたい」と官僚を仕事に選んだ。「省庁の中でも通産省は人も雰囲気も明るかった」

 本年度、挑戦的な売り上げ目標を掲げる経営者を特設サイトで公表する「100億宣言」を始めた。日本経済の復活には中小企業の成長と変化のパワーが不可欠。「経営者の心に火を付け、経済成長の機運を高めたい」

 お酒が好きで「夜はほぼ毎日予定が埋まっている」と笑う。人と人とのつながりが強かった幼少期の“田舎暮らし”は財産だという。座右の書は内村鑑三の「後世への最大遺物」。横浜市在住、61歳。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >