午前3時半の鹿児島港発の桜島フェリー最後の便が桜島港に入港する=30日午前3時50分頃、鹿児島市桜島横山町
鹿児島市の鹿児島-桜島両港を結ぶ桜島フェリーは30日で、旧桜島町時代の1984年から続いた24時間運航に幕を下ろした。10年連続の赤字決算など厳しい経営改善の一環で、1日から午前0〜3時台の計8便を廃止した。
午後11時の桜島港発、同11時半の鹿児島港発が最終便となり、午前4時の桜島港発、同4時半の鹿児島港発が始発となる。廃止した時間帯は救急搬送などの緊急事態に対応するため、桜島港に船1隻を待機させる。
◇
鹿児島市の桜島フェリーの24時間運航を支えてきた未明便は30日、最後の便を迎えた。市船舶局によると、8便合わせて乗客50人、車25台が利用。各便の乗客からは惜しむ声が聞かれた。
午前0〜3時台の未明便は1隻が30分おきに折り返し運航する。午前0時半に鹿児島港を出る便に乗った鹿屋市の会社員女性(24)は、鹿児島市街地で友人と遊んだ帰り。市街地に出る時は桜島港に車を止めてフェリーを使ってきた。「終日運航はありがたかった。今後は早く帰るか、早朝まで粘るしかない」と残念がる。
午前1時半の鹿児島港発に乗り込んだのは、鹿児島市の鹿児島大医学部男性。報道で終日運航の終了を知り、初めて未明便を体験した。「40年以上、市街地と24時間結んできた歴史はすごい。ただ赤字が続く中、フェリーを長く運航するためには仕方ないのだろう」
東京から訪れたライターの清水浩史さん(54)は廃止される全8便に乗った。全国を旅した高校時代、桜島フェリーターミナルで一夜を明かした。「夜中でも明かりがあり、安心したのを思い出す。24時間運航は全国見てきた中でここしかない。いつか復活してくれたらうれしい」と願った。
市船舶局は、8便の廃止で燃料費や委託料で年間約3100万円の経費削減を見込む。堀田竜也次長は「桜島の住民はじめ利用者には不便をかけるが、フェリー運航を維持するための決断」と理解を求めた。