イメージ
働く60、70代の増加のあおりを受け、高齢者の健康や生きがいづくりを担う老人クラブの退潮が顕著になっている。鹿児島県老人クラブ連合会によると、直近の1年で89クラブ、5436人減り、この10年間で最大の落ち込みとなった。
連合会の加盟は2025年5月1日現在、1567クラブ、6万6847人。会員数がピークだった1997年(17万4648人)の4割を切った。同年はクラブ数も2869あった。最近の10年間でも2016~20年の減少が平均2968人だったのに対し、21~25年は平均4669人と1.5倍になっている。
連合会が減少の主な要因に上げるのが、働くシニアの増加。鹿児島労働局の年報によると、週20時間以上働く65歳以上は20年3月末の3万9670人に対し、24年3月末は5万2055人。国の方針に年金や物価高の不安も加わり、右肩上がりが続く。
連合会の上橋勉事務局長は「仕事を続けたい高齢者が、老人クラブに魅力を見いだせずにいる」と分析。最近の5年間は「新型コロナウイルス禍で集団活動が長く停滞し、減少に拍車をかけた」という。
70歳代までの加入減少の影響で会員が高齢化。役員の担い手が見つからないクラブも増えている。さらに少子化の余波で地元の小学校が統廃合され、農作業や七夕飾り作りなど活動の柱とする世代間交流がなくなる地域も出ている。
こうした状況を踏まえ、集落単位だったクラブを広域化したり、趣味のつながりで小さなクラブを組織し市町村のクラブ連合会に事務を委ねたりと、存続に向けた対策を模索する。鹿児島県も活動助成金の対象を30人未満にも広げた。
連合会は9月に開いた「ゆめ・ときめき鹿児島 ねんりん大会」で、高齢者同士の見守りや生活支援などに取り組む方針を掲げ、1万人の会員純増を目標にしている。上橋事務局長は「介護予防や高齢者同士の見守りなど、地域に不可欠な活動を続けている」と強調、存在意義を伝えていくという。