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体重や体格指数(BMI)は平均なのに、体脂肪率は高い。そのような状態は「隠れ肥満」とも呼ばれる。放置すると高血圧や糖尿病につながる恐れがある。日本循環器学会専門医で、鹿児島市のくわはたクリニック理事長、桑波田隆志医師(54)に予防法を聞いた。
日本では、BMI25以上、体脂肪率は女性30%以上、男性20%以上を肥満と定義する。隠れ肥満は、BMIは標準値やそれ以下でも、体脂肪率が高い状態を指す。加齢に伴う筋肉量不足や基礎代謝の低下が主な原因で、女性に多い。若くても当てはまる場合がある。
肥満は、おなか周りに脂肪が付く「内臓脂肪型」と、下半身に脂肪が付く「皮下脂肪型」の2種類ある。特に内蔵脂肪型は、生活習慣病の発症リスクが高い。
女性の場合、閉経後に女性ホルモンのエストロゲンの分泌がなくなり、血圧や血糖値が急激に上がる人も多いという。桑波田医師は「高齢で痩せていても、内臓脂肪が多い人をよく見かける。血糖や血圧、がんといった病気の原因になる可能性もある」と指摘する。
内臓脂肪の減少には、運動とバランスの取れた食事が効果的だ。
桑波田医師はウオーキングなどの有酸素運動と筋トレを勧める。1日10分、スクワットや腹筋、水を入れたペットボトルを持ち腕を上下に動かすなど簡単にできる運動を継続することが重要だ。
食事は炭水化物や糖質を少し減らし、青魚といったタンパク質をしっかり取ることを心がけたい。桑波田医師は「丼ものや麺類だけという食事には、納豆や豆腐といったタンパク質を取り入れるだけでもいい」と助言する。
中年以降は一気に基礎代謝が落ちたり、体重が増加したりする。「体重ばかりに目が行きがちだが、健康のためにもインナーマッスル(深層筋)を鍛え、脂肪を減らすことを意識してほしい」と呼びかけた。