業務改善勧告を受け、謝罪する平岡英樹取締役執行役員(中央)ら幹部=7日、霧島市の鹿児島空港
鹿児島県霧島市の日本エアコミューター(JAC)が7年間にわたって不適切な整備処置を繰り返したとして、国土交通省は7日、同社に業務改善を勧告した。433件に上り、国交省大阪航空局は「組織的な悪質性があり、安全管理システムが機能していない」と指摘。JACに28日までに再発防止策を報告するよう求めた。
勧告によると、2018年1月から25年6月末までの間、不具合があったにもかかわらず、必要な整備や修理の持ち越しをしなかった事案が212件あった。機体の部品をつなぐ「ボンディング・ワイヤ」の断線など、うち7件は直ちに修理が必要だった。未修理の状態で最長468日間運航した機体もあった。
また、整備作業をした確認主任者が、航空機の状況を共有する社内のデータベース「モニタリングシステム」に不具合の情報を登録するだけで、航空法に基づいた確認が漏れていた事案が221件あった。
これら計433件について、整備記録の作成または航空日誌へ必要な記載をしていなかった。
JACが7月2日に機体の整備状況を確認していたところ、一部機体でランプの留め具の一つが欠落したまま運航していたことが判明。報告を受けた大阪航空局が同15、16日に立ち入り検査をして発覚した。
JACは10月7日の会見で、「離島の翼としてできる限り運航したい」といった意識があり、「軽微な事象は『モニタリングシステムに登録すればよい』といった誤った理解が現場にまん延していた」と分析。JAC安全統括管理者の平岡英樹取締役執行役員(57)は「指導内容を重大かつ厳粛に受け止めている。信頼の早期回復、再発防止策の策定、組織の風土づくりに努める」と述べた。