次はいよいよノーベル賞?…光触媒システム開発でクラリベイト引用栄誉賞を受賞した堂免一成さん 目標の「水素を大量に安く」実現へ「もう少し効率を上げなければ」

2025/10/08 10:11
ノーベル賞の登竜門とされるクラリベイト引用栄誉賞を受賞した、堂免一成〔どうめん・かずなり〕さん
ノーベル賞の登竜門とされるクラリベイト引用栄誉賞を受賞した、堂免一成〔どうめん・かずなり〕さん
■「かお」ノーベル賞の登竜門とされるクラリベイト引用栄誉賞を受賞した、堂免一成〔どうめん・かずなり〕さん

 太陽光と水から直接水素をつくる光触媒システムの開発で、2024年9月、ノーベル賞の登竜門として注目されるクラリベイト引用栄誉賞に選ばれた。「水素を大量に安くつくるには、もう少し効率を上げなければ。研究者として名誉な賞でうれしいが、数年待ってほしかった」とはにかむ。

 南さつま市金峰町中津野で生まれ育ち、中学生の頃から水の電気分解や理科の実験に興味があった。鹿児島市のラ・サール高校に「ぎりぎりで入学できた」というが、2年生終了時には東大が射程に入った。「化学と生物が好きで、自然と頭に入った」と振り返る。東大理学部へ進み、1979年、博士課程のテーマとして選んだのが、水を分解する光触媒の研究だった。

 可視光を使える材料を見つけるのが難しく、海外では研究が下火になった時期もあった。東京工業大や東大の教員として学生と共に数多くの材料を試し、世界をリードする分野に育てた。「失敗の方が圧倒的に多いが、アイデアが枯渇することはなかった。もっとこうすればうまくいくのでは、というのが楽しかった。好きだから続いた」

 次世代エネルギーとして期待される水素。「将来にわたって使えるきれいなエネルギーをつくるのは、われわれ世代の責任」とやりがいを語る。東大と信州大で研究を続け、学生結婚した純子さん(69)と一緒に東京と長野市を行き来する。年に数回は帰省、旧友と酒を酌み交わし、気さくな人柄で慕われる。いずれは故郷に戻るつもりだ。

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