参加者が試食した山形と鹿児島の郷土料理。写真中央が「あけびの肉詰め」=鹿児島市のカクイックス交流センター
「徳」だけでなく「食」でも交流しよう-。鹿児島市で、戊辰戦争後の西郷隆盛と庄内藩家老・菅実秀との「徳の交わり」にちなみ、同市と兄弟都市盟約を結ぶ山形県鶴岡市の食文化を学ぶ講座が開かれた。40~70代の16人が、鶴岡市の郷土料理家やシェフらと庄内風芋煮や「あけびの肉詰め」を作った。
NPO法人霧島食育研究会(霧島市)が初めて企画した。協力した庄内旬青果(山形県三川町)の長島忠社長(55)によると、山形は里芋を使った芋煮が名物で、秋には職場や友人同士で芋煮会を開き、「芋煮ケーション」を楽しむ。内陸部は牛肉を使ったしょうゆ味など土地ごとに特徴があり、日本海沿いの庄内地方では豚肉とみそを合わせるという。
講座はカクイックス交流センターで2日あった。参加者は豚肉を使う煮物に親しみを感じたり、アケビを皮ごと使う肉詰めに驚いたりしながら調理に挑戦。鹿児島のあく巻きと共通点の多い山形の笹巻き、同研究会が準備したガネや薩摩すもじといった鹿児島の郷土料理も一緒に味わった。指宿市の主婦迫田美和さん(48)は「鹿児島と山形との歴史的な深いつながりが分かった。山形に仕事でよく行っていた義父に芋煮を作ってあげたい」と笑顔を見せた。
長島社長は「西郷さんが寛大な対応をしてくれなかったら、山形は農業県として成り立っていなかったかも。山形でも鹿児島の食も紹介したい」。同研究会の千葉しのぶ理事長(62)は「鶴岡市はユネスコ食文化創造都市で、郷土の食文化や在来作物を大事にしている。食をテーマに今後も交流できたら」と意気込んだ。