差し押さえたのは預貯金1001円のみ。4億4761万円回収できず… 亀裂が入った採石場。鹿児島県が業者の代わりに災害工事

2025/10/09 07:00
鹿児島県庁
鹿児島県庁
 鹿児島県は8日、2004年に奄美市住用の戸玉集落の採石場で大規模な亀裂が発生し、県が行政代執行した災害防止工事の費用を巡り、債務者である会社役員が今年4月に死去したため、今後は徴収できないと決定する「不納欠損処分」を検討すると明らかにした。回収できていない未済額は25年8月末現在で4億4761万円。差し押さえたのは法人の預貯金1001円のみという。

 04年7月、斜面の亀裂で土石流が発生する恐れが発覚。事業者に災害防止措置を求めたものの、資力がなく、業者の採石を認可した県が04~06年、防護柵設置や斜面工事などの応急・恒久対策を代わりに実施した。県は業者に督促や面談、財産調査を続けてきたが、差し押さえできる財産を確認できなかった。

 県議会決算特別委員会の商工労働水産部の審査で当局が説明した。委員から「当時の対応は適切だったか」と問われ、担当者は「事実を確認し、そのときできる対応を取ってきたと考えている」と応じた。

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