〈資料写真〉鹿児島港本港区住吉町15番街区への新築移転に一歩前進した鹿児島サンロイヤルホテル=鹿児島市与次郎1丁目
鹿児島市の鹿児島港本港区住吉町15番街区の県有地利活用事業の事業予定者に鹿児島国際観光が選ばれた8日、周辺の街づくり関係者からは、にぎわい創出や回遊性向上に期待を寄せる声が相次いだ。同社が運営する鹿児島サンロイヤルホテル(同市与次郎1丁目)跡地は、市が整備を目指す多機能複合型サッカースタジアムの候補地に浮上しており、議論が動き出す可能性がある。
同社の提案では建物の概要に加え、シェアサイクル置き場設置や循環バス導入など周辺との回遊が示された。WeLove天文館協議会の牧野繁会長(69)は「良い立地を生かして中心市街地のにぎわいづくりをけん引して」と期待する。
天文館商店街振興組合連合会の平岡正信代表理事(57)も「天文館エリアへの誘客につながる」と評価する一方、県有地であることに触れ「国際会議の受け入れなどで寄与するのか、検証はしてほしい」と要望。下鶴隆央市長は「まちのにぎわいや回遊性の向上が図られ、中心市街地の活性化に寄与すると考える」とコメントした。
今回の決定は、停滞が続くスタジアムの候補地選定に影響を与えそうだ。市は2019年から同街区やドルフィンポート跡地など4カ所を候補地として挙げてきたが、全て断念。下鶴市長は、同ホテル跡地が候補地になり得るとの認識を示し、9月市議会では移転決定後に「(同社の)意向を確認する」と答弁した。
県サッカー協会の川畑佑樹会長(42)は「議論が成熟する段階ではない。早く建設してほしいと伝え続ける」と話した。
■「観光、文化の振興に努める」鹿児島国際観光がコメント
鹿児島サンロイヤルホテル(鹿児島市)を運営する鹿児島国際観光(同市)は8日の事業予定者決定を受け、「県民と来県者が納得できる安息と楽しみと満足の空間をつくり上げ、事業の持続可能性を図ることを考え提案した。今後も公共性、公益性を優先しながら鹿児島の観光、スポーツ、文化の振興に努めたい」とのコメントを出した。
同日午後3時過ぎ、県から事業予定者決定の連絡があった。部長以上の幹部を集め、下津昭則社長(62)が「一致団結して皆で頑張っていこう」と呼びかけたという。