〈資料写真〉事業予定者に決まった鹿児島国際観光がホテルの整備を予定する住吉町15番街区(手前)=2024年1月(本社チャーター機から)
鹿児島県は8日、鹿児島港本港区(鹿児島市)住吉町15番街区に大宴会場などを備えたホテルを整備する民間事業者を選ぶ公募で、鹿児島サンロイヤルホテルを運営する鹿児島国際観光(同市)を事業予定者に決めたと発表した。10月中に同社と今後の手続きの日程などを盛り込んだ基本協定を結ぶ見通しで、長年の懸案だった県有地の再開発事業が動き出すことになる。
県有地は2万4777平方メートル。11月以降、土地の貸付料や借りる期間などを含む定期借地権設定に関する予約契約、基本計画協定、定期借地権設定契約を順次結ぶ。同社が提案で示した事業期間は施設の整備や撤去に要する期間も含め、2028年7月から83年6月までの55年間。ホテルの供用開始日は31年4月1日。
公募に応じたのは県や鹿児島市などが出資する第三セクターの同社のみだった。提案発表会や非公開での審査を経て9月、評価委員会(委員長・宮廻甫允(みやさこ・としみつ)鹿児島大学名誉教授)が最優秀提案者に選定。県議会では評価委の委員構成や、ホテル側の採算性などについて質疑があり、提案内容に関する異論はほぼなかった。
提案によると、ホテルは9階建て、客室計281室。国際会議や学会に対応できる機能の整備を目指す県の事業趣旨を踏まえ1、3階には宴会場兼会議室を、2階には最大2000人を収容できる大宴会場を設ける。駐車場2階部分に飲食テナント群「海の屋台村」を整備し地元店舗を誘致する。
評価委では、にぎわい創出や中心市街地との回遊性向上が期待された一方、魅力的な空間形成や資金調達、収支計画はさらに検討や精査が必要と指摘された。県PR観光課の東俊浩・PR観光企画監は「提案がより優れた内容となるよう事業予定者との協議に臨む」と話した。
県は近くのドルフィンポート跡地に新総合体育館整備を計画する。