9回表に勝ち越し、盛り上がる徳之島スタンド=平和リース球場
第157回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第14日は9日、鹿児島市の平和リース球場で準決勝2試合があった。神村は4年連続14度目、出水中央は37年ぶり3度目(出水学園含む)となる秋の九州大会(25~31日・宮崎)出場を決めた。
神村学園は投打がかみ合い8-0で樟南に7回コールド勝ち。出水中央は15安打を放ち、8-7で徳之島にサヨナラ勝ちした。
10日は休養日。決勝は11日午前10時から同球場である。
【評】出水中央が接戦を制した。逆戦し逆転されるシーソーゲーム。2点を追う9回裏、北鶴、下薗らの連打で好機を広げ西崎がサヨナラ打を放った。徳之島は、長尾の三塁打などで4点を先制したが守り切れなかった。
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徳之島が20年ぶりに秋季大会準決勝に出場した9日、平和リース球場のスタンドでは島から駆け付けた在校生ら100人以上が選手を後押しした。最終回までもつれる好ゲームに「徳高らしさが出ていた」「全ての場面が目に焼き付いた」とねぎらう声が上がった。
9回2死一、二塁。代打・井川が適時打を放ち同点に追い付くと、スタンドの熱気は最高潮となり、歓声や指笛が響く。この回に2点を勝ち越し決勝進出に迫った。普通科2年の竹原星良さんは「感動しました」と声をうわずらせた。
保護者会長の岩崎仁さん(49)は「最後は意地のぶつかり合いだった。島から甲子園に向けて夏も頑張ってほしい」と激励した。
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20年ぶりに準決勝進出した徳之島は、積極的な姿勢を貫いた。サヨナラ負けで涙をのんだが、強豪私立に勇猛果敢に挑戦。長打を生かして3回に先制、9回に逆転と底力を見せた。地頭所監督は「悔しいが悔いはない。力を出し切ってくれた」と選手をたたえた。
九州大会出場を懸けた大一番でも先手を取った。四球絡みで1死満塁の好機をつくった3回、エースで四番の長尾が打席に立った。迷いなく振り抜いた打球はライト線を破り、走者一掃の三塁打で3人が生還した。
見せ場は、1点を追う9回表にも待っていた。代打の井川の適時打で5-5に追いつき、連続の押し出し四球で2点のリードを奪った。154球の熱投を見せた長尾は9回裏に力尽き、「勝つのは簡単じゃないと思い知った。点を取ってくれた仲間に申し訳ない」と肩を落とした。
長尾と中学からバッテリーを組む川畑らを中心に「徳之島から甲子園」を目指して集まった。川畑は「チームワークはどこにも負けない」と力を込める。
準々決勝まで12盗塁と積極的な走塁も光った。嶋田主将は「守備も我慢強くなり、自信をつかめた」。野球が大好きな選手たちは鴨池で大きく成長した。