海中にワイヤ、パイプ…中国調査船 “ある海域”を塗りつぶすように何度も往復していた――奄美沖EEZで無断活動、狙いは海洋資源か?

2025/10/12 06:03
奄美大島沖で確認された中国海洋調査船「向陽紅22」=4日(第10管区海上保安本部提供)
奄美大島沖で確認された中国海洋調査船「向陽紅22」=4日(第10管区海上保安本部提供)
 鹿児島県・奄美大島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で頻繁な活動が確認された中国の海洋調査船は、北西-南東方向に60キロ、幅5キロの海域を繰り返し往復した航跡があることが11日までに分かった。天然ガスなど海洋資源が豊富にあると期待される「日中中間線」付近で、境界を巡って日中の主張に隔たりがある海域だった。

 調査船は「向陽紅22」。船舶の位置や航路を確認できるインターネットサイトの「ヴェッセルファインダー」でデータを分析した。調査船は9月25日に上海を出港し、翌26日に奄美大島から西に約380キロ地点に着いた。その後、南西に約60キロ地点に向かい、元の地点に戻る往復を10月6日まで繰り返した。航路は幅5キロの長方形を塗りつぶすような形となっていた。

 第10管区海上保安本部の巡視船が、EEZ内での活動を確認し、初めて公表したのは9月28日。ワイヤのようなものを海中に延ばしていた。活動は30日、10月1、2、4、5、6日にも確認され、パイプのようなものを延ばしていた。EEZの境界付近のため、出入りを繰り返す格好になったとみられる。周辺では5、8月にも別の中国調査船が計2隻、台湾調査船1隻がそれぞれ調査のような特異行動をし、海保は中止を求めた。

 EEZは、沿岸国の経済的な権利が及ぶ200カイリ(約370キロ)以内の範囲。日本は日中両国の海岸線から等距離となる「日中中間線」付近としている。一方、中国は大陸棚が続くとして「沖縄トラフ」までをEEZと主張。尖閣諸島の領有権にも影響するため、両国の主張は平行線をたどる。

 国連海洋法条約は、各国の航行と上空飛行の自由を保障する一方、「沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払うもの」と定める。10管は調査船がEEZに入るたびに「日本に同意がない海洋調査の疑いがある」として無線で中止を要求。調査船は初日だけ無線に応答したが、海保は内容を明らかにしていない。

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