床下に流れ込んだ土砂の状況を説明するピースボート災害支援センターのスタッフ(左)=姶良市平松
8月の記録的大雨で甚大な被害が出た、鹿児島県の姶良市と霧島市の災害ボランティアセンターが設置されて約2カ月。依頼数が落ち着いた後も、潜在的なニーズを掘り起こそうと被災地を巡回。情報が届きにくく声を上げにくい高齢者や障害者らの支援につなげている。
姶良のセンターでは、運営する姶良市社会福祉協議会のスタッフが、浸水被害が確認できた地域の家々にローラー作戦をかけ、地図上に落とし込み、漏れがないように努めている。家屋清掃のほか、泥や災害ごみの搬出など10月3日までに313件の依頼があり、開設した8月12日からの1週間で過半数を占める。ただ、9月25日以降も10件に上り、3分の1ほどが出向いて掘り起こしたニーズという。
姶良市社協の丸野光俊さん(41)は「さまざまな情報をキャッチできる若い世代の支援要請が少なくなる一方、地域で孤立していたり片付けが苦手だったりして手つかずの家がある。何度か話を聞くうちに支援につながるケースもある」と話す。10月3日現在延べ1262人がボランティア参加したセンターは、年内は開設を続ける予定だ。
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専門知識のあるボランィアも活動を継続している。公益社団法人ピースボート災害支援センターは、家屋対応専門の2人が8月から姶良市に常駐。11月末までとどまる予定で10月初旬、同市平松の家屋では、一般ボランティアに清掃の注意点を指導したり、被災者に公的な修理制度の活用法を助言したりした。
ピースボートの川村勇太さん(50)は「受けられる支援を知らずに出費がかさみ困窮していく人もいる。ボランティアセンターだけでは限界があり、自治体には床上浸水した世帯を数年単位で見守る体制が必要」と訴えた。
霧島市のセンターは10月1日現在、314件の依頼があり、延べ1509人のボランティアが参加した。依頼のあった家の周辺などを9月中旬まで職員が聞き取りし、必要に応じてボランティアを派遣。現在は、依頼者への継続的な支援が中心となっており、センターは当面開設を続ける。
災害ボランティアセンターは姶良=080(6879)9718、霧島=0995(45)1557。