境内を流れる川が氾濫。大鳥居や参道が崩壊したが、私有地なので公的支援なし… 450年以上の歴史ある霧島市の前玉神社 復旧へクラファン

2025/10/14 07:00
大雨で鳥居が倒壊し、境内へつながる橋の土台が崩れた前玉神社=霧島市溝辺町三縄
大雨で鳥居が倒壊し、境内へつながる橋の土台が崩れた前玉神社=霧島市溝辺町三縄
 8月の記録的大雨で被災した鹿児島県霧島市溝辺町三縄の前玉(さきたま)神社を復旧させるため、地元有志がクラウドファンディング(CF)で資金の募集を始めた。氏子総代6人でつくる「三縄自彊(じきょう)会」の三縄香美会長(60)は「先人が守ってきた大切な場所。どうにか直したい」と協力を呼びかける。

 神社は450年以上前に建立されたとされ、家畜の守り神「水波売能大神(みずばのめのおおかみ=須川様)」をまつる。溝辺町郷土誌によると、大洪水で流された馬が険しい滝を乗り越え、神霊によって助かったと伝わる。地元では「春は須川の馬踊りから」といわれ、毎年3月28日に開く春の祭りは県内外から家畜農家を中心に参拝者が訪れ、家畜の繁殖無事を祈る。

 8月の大雨では、境内を流れる天降川の支流・久留味(くるみ)川が氾濫。大鳥居が崩壊したほか、須川様をまつるほこらが水没し、石碑が流され、橋や参道が壊れた。

 同会は復旧作業を進めているが、大鳥居の撤去や復元、橋などの修繕には約500万円かかる見込み。神社は私有地のため公的支援は受けられず、同会の資力では捻出しきれない状況だという。

 CF運営サイト「キャンプファイヤー」で12月1日まで寄付を募る。目標額は300万円。神社のお札や、境内にある奉納看板に寄付者の名前を記載する返礼を用意する。

 豊かな自然に囲まれ水辺にたたずむ神社は、近年、パワースポットとして若者を中心に人気を集めているという。三縄会長は「地域の宝として後世につなげるため、再建に向けて力を尽くしたい」と語った。

鹿児島のニュース(最新15件) >

日間ランキング >