馬毛島を視察する中谷元・防衛相(右)=15日(防衛省提供)
中谷元・防衛相は15日、米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)の移転を伴う自衛隊基地整備が進む西之表市馬毛島を視察した。現職大臣の馬毛島上陸は2024年7月の木原稔氏以来。「通常の部隊視察の一環」として非公開となった。16日の海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)、航空自衛隊下甑島分屯基地(薩摩川内市)の視察を含め地元首長らとの面会予定はなく、「地元軽視」との声も上がっている。
防衛省によると、中谷氏は15日午後ヘリコプターで馬毛島に到着。先遣隊が任務を始めた飛行管理棟のほか、管制塔や庁舎を備えた飛行場支援施設、仮設桟橋など工事中や工事完了後の施設を確認した。視察後に宿泊先の鹿屋に向かった。
視察期間中、中谷氏と首長らとの面会や取材対応の予定はない。現職大臣で初めて馬毛島に上陸した岸信夫氏は種子島1市2町の首長・議長らと面会。2年後に上陸した木原稔氏は、陸上自衛隊奄美駐屯地(奄美市)で取材に応じた。
防衛省から各市町への連絡は前日の14日夕。西之表市の八板俊輔市長は14、15日、県外出張していた。
計画に反対する長野広美市議は防衛省の対応に「地元軽視だ」と憤る。基地関連の仕事への人材流出で1次産業や医療福祉の現場で人手不足が常態化しているとし「市民の声を直接聞き問題を実感してほしい」。
市議会馬毛島対策委員会の杉為昭委員長は「事故が相次ぎ現場の引き締めを図る狙いもあるだろう」と推測。一方で同市の隊員宿舎建設がごみ出土で中断、協議が暗礁に乗り上げており「市側との面会を避けたのでは」と語った。