高市早苗新首相が誕生した21日、鹿児島県内の経済界からは、物価高や人件費の高騰などに苦しむ中小企業や農林水産業に向けた即効性のある政策を求める声が相次いだ。日本初の女性首相へのエールや自民党と日本維新の会の連立による外国人政策厳格化への懸念も聞かれた。
高市氏は積極財政の方針を掲げている。鹿児島商工会議所の岩崎芳太郎会頭(71)は「長く続いた緊縮財政から切り替わる」と歓迎する。都市部と比べ人手不足が加速し、疲弊する地方経済の是正を訴え、「これから打ち出す政策が鹿児島にとって効果があるか。注視していく」。
「地域に一番密着しているのは中小企業」と話すのは、県商工会連合会の森義久会長(68)=全国商工会連合会長。赤字中小企業の賃上げ環境整備に意欲を見せる高市氏に「厳しい状況にある現場の声を聞き、スピード感を持って政策を進めて」と要望した。
県酒造組合青年会で女性初のトップを務めた軸屋酒造(さつま町)の軸屋麻衣子社長(51)は、女性首相誕生に「やっとこの時代が来た。女性だからこそ気付く視点を大切に改革にも取り組んでほしい」とエールを送る。国内消費の低迷もあり、焼酎業界は海外販路拡大を模索しており、外交手腕にも期待する。
鹿児島銀行の郡山明久頭取(68)は「物価高や人手不足、中央との賃金格差など県内経済の課題は多い。新内閣には地方の実情を踏まえた経済活性化を推進してほしい」とコメントした。
新内閣は若手の起用が目立った。43歳で農林水産大臣に抜てきされた鈴木憲和氏は、農水省出身で農水副大臣の経験もある。JA県中央会の山野徹会長(69)は「若く農政に精通している。農家の不安に寄り添い、持続可能な農業・農村の発展を」と希望した。
新設された外国人共生担当相を警戒するのは、連合鹿児島の下町和三会長(65)。高齢化や人口減少が進む中、外国人材の存在は地方では欠かせなくなっている。「地場産業を支えるには共生が不可欠」と慎重な議論を求める一方、政治空白で停滞した物価高騰対策を上げ「まずは即効性のある施策を」と注文した。