「使用済み核燃料が半永久的に保存されるのでは…」 川内原発の乾式貯蔵施設計画に地元・薩摩川内市から懸念の声上がる

2025/10/25 12:23
報道陣の質問に答える九州電力鹿児島支店の担当者=24日、鹿児島市与次郎2丁目
報道陣の質問に答える九州電力鹿児島支店の担当者=24日、鹿児島市与次郎2丁目
 九州電力が川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の敷地内に使用済み核燃料を一時保管する乾式貯蔵施設の整備を国に申請した24日、地元住民らは理解を示す一方、再利用する核燃料サイクルが行き詰まる中、「半永久的な保存施設になるのでは」と懸念する声も聞かれた。

 川内原発から5キロ圏内の寄田地区コミュニティ協議会の時吉正男会長(74)は「川内原発は大きな事故なく稼働している。乾式施設も国が整備を判断し、安全に運用される分には特に問題ないと感じる」と話す。原発は地元への恩恵も大きいとし、「燃料プールが満杯になり、運転できない方が困るのでは」と述べた。

 川内商工会議所の橋口知章会頭は「地元の産業にとって原発は重要。今後さらに電気を必要とする時代に乾式施設は欠かせない。国の審査に適切に対応し、着実に進めてもらいたい」とコメントを出した。

 使用済み燃料を巡っては、搬出先となる再処理工場(青森県六ケ所村)の稼働は延期を繰り返し、核のごみの最終処分場も決まっていない。「核燃料サイクルは破綻している。乾式施設は一時保管を名目としているが、半永久保存につながらないか」と心配するのは市民団体「川内原発建設反対連絡協議会」の鳥原良子会長(77)。他国から攻撃対象となるリスクもあると指摘し、「次世代に負担を押しつけるわけにはいかない。市や県は強く反対すべきだ」と訴える。

 原発に近い滄浪地区コミュニティ協議会の森満幸守会長(68)は整備に理解を示すが、「再処理工場への具体的な搬送計画が知りたい。それが地域の安心につながる」と注文した。

 取材に応じた田中良二市長は「住民の不安の声は受け止めている。国の責任で核燃料サイクルを確立すべきだと早期に求めていく」。塩田康一知事も「再処理工場は2026年度の完成を目指すと聞いている。国に実現するよう要請する」と述べた。

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