鶏のたたきが絶品でしたーー錦江町で60年以上愛されたスーパー「おおやま」 10月末で閉店へ 認知症当事者に働く場を提供

2025/10/27 07:00
ゆうゆうカフェの利用者と共に働く新鮮倶楽部おおやまの酒匂和之さん(左)=22日、錦江町城元
ゆうゆうカフェの利用者と共に働く新鮮倶楽部おおやまの酒匂和之さん(左)=22日、錦江町城元
 鹿児島県錦江町城元のスーパー「新鮮倶楽部おおやま」が10月末で閉店し、60年以上の歴史に幕を下ろす。町役場前にあり、鶏を使った弁当や生鮮食品がそろう人気店。近年は認知症の当事者に働く場を提供するなど社会貢献に力を入れた。利用者らは別れを惜しんでいる。

 おおやまは1960年代に「大山商店」として創業した。鶏の唐揚げやたたき、新鮮な海産物や野菜、果物を買い求める客でにぎわってきたが、老朽化やスタッフ不足などの影響で店を閉じることになった。

 2023年10月からは、町が進める「認知症にやさしいまちづくり」の先進事例として、認知症当事者が集まる「ゆうゆうカフェ」のメンバーを受け入れて働く場を提供。月に1度、商品の袋詰めやラベル添付、陳列の業務を任せ、労働の報酬としてジュースや商品券をプレゼントした。

 受け入れの最終日となった今月22日は、「何度も通っていたので悲しい」「今までありがとう」などの声が上がり、近くの交流施設で花束の贈呈式もあった。メンバーの一人、猪鹿倉昭雄さん(81)は「作業は全部楽しかった」と話した。

 おおやまの総務部長、酒匂和之さん(52)は「楽しそうに働いていたり、町中でも声をかけられたりと、やって来てよかったと思った。今後も何らかの形で、カフェとの関わりは続けたい」と語った。

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