デートで着る服を買いに服屋に行ったイケザキ
ダンスパーティー後に届いたメールは、ユキコちゃんの友達からのもので、ユキコちゃんが僕のことを気に入ってくれてるという衝撃的な内容だった。女子サイドでどんな会議があったかは分からないが、これは奥手の僕でも分かる。完全に「デートに誘え」というパスだ。
サッカーの神様ジーコはこんな言葉を残している。
【何かを始めようとする時、最も大切なのは、チャレンジする気持ちだ】
震える手でメールを打ち込む。『コンドエイガニイキマセンカ サトル』
いっけえええ!ポチッ。僕は無難に映画デートシュートを放った。30分後、携帯の液晶画面が七色に光る。ユキコちゃんからのメッセージが来た時のみ七色に光るように設定していたのだ。
『ウン イイヨ ユキコ』
ゴーーーール!神様ありがとう。やった!念願の人生初デートだ。
でも一つだけ心配があった。服どうしよう?ダンスパーティーの時は全員スーツだったため、ハンデなしで試合ができた。だが、私服となると途端に不利になる。なぜならファッションセンスが壊滅的にないからだ。
どうする?服買うか?だけど何がオシャレなのかわからない。ダサい服を買ってしまったらユキコちゃんとのデートが惨敗に終わってしまう…。
いや!サッカーの神様ジーコはこんな言葉を残している。
【敗北するという恐れは勝利への意志をも奪い去る】
恐れちゃダメだ。勇気を出して服屋に行くんだ。僕は生まれて初めてPARCOに行った。
PARCOは7階建てぐらいで、全てのフロアに服屋が何店舗も入っている。なんて服の数。多すぎる。神の言葉を胸に服屋のフィールドに走り込む。店員が話しかけてくる。
「よかったら広げて見てくださいね」。広げていいのか?たたみ方分からないし。いや!神を信じろ!僕は広げた。オレンジとグレーの縦じまの半袖シャツだった。全くオシャレか分からん。
「こちら非常に人気で、良かったら試着してみてください」
試着したら、買う流れにならないか?試着してやっぱやめますと言いづらいし。このままだと押し込まれるぞ。しかもまだ1軒目だ…。
いや、神の言葉を信じろ!チャレンジする気持ち!敗北を恐れるな!
「試着お願いします。どうすかね?」
「わあ!大変似合ってますよ。今お履きになってるパンツもいいんですが、こちらのパンツと合わせるのもオススメですよ。あとインナーにこちらのTシャツを合わせると、より全体がまとまりますよ。ご一緒にいかがですか?」
「全部ください!」
ゴール!ゴール!ゴオオオール!店員さん、ハットリック達成!
サッカーの神様ジーコはこんな言葉を残している。
【一つのプレーが世界を変えることもある】
サトルは勝負服を手に入れた。
つづく。