史上最高値を更新した日経平均株価の終値5万512円32銭を示す電光表示=27日、鹿児島市の野村証券鹿児島支店(佐伯直樹撮影)
東京株式市場の日経平均株価が史上初めて5万円を超えた27日、鹿児島県内の投資家らは上昇の速さに驚きつつ「実感はない」と冷静に受け止めた。恩恵は一部にとどまり「地域経済への効果は期待できない」との声もあり、大台突破による過熱感は見られなかった。
野村証券鹿児島支店(鹿児島市)によると、この日の問い合わせは若干増えた程度。顧客からは高市早苗新政権による日本経済の見通しや好調な業種、有効な投資手法を気にする内容が大半を占めたという。
江平健太郎支店長(47)は「反動でいったん落ち着くとは思うが、緩やかな上昇傾向は続くだろう。日米の金利政策や企業の稼ぐ力の持続度、内閣支持率などさまざまな要因を踏まえてリスクを想定する必要がある」と話す。
日経平均は、わずか1カ月で5000円上昇した。「4万5000円台で頭打ちだと思っていた。まさかこんな短期間で」と鹿児島市の会社員男性(32)は驚きを隠さない。ただ、「さらに上向くかもしれないが、物価高で生活に還元されている実感は全くない」。
4年程前から株や投資信託で資産運用する鹿屋市の会社員男性(52)は、ほとんど値動きがなかった銘柄が高市首相誕生後、利益率が最大30%まで伸びた。「少し買い増す予定。利率のいい貯金をする感覚で長期的に運用する」と語った。
東京商工リサーチ鹿児島支店(鹿児島市)の勢越淳一支店長(46)は「株を短期で売買する投資家と違い、長期保有する一般企業は売却しない限り恩恵を受けられず、保有目的によっては法人税が課税されるデメリットがある。株式投資をする個人は3割弱で、株高は一部にしか関係がない」と分析。県内経済への効果は薄いとみる。