瑠璃色の羽がきれいなルリカケス。国際自然保護連合のレッドリストで絶滅危惧種の分類から外れた=5月、大和村のアマミノクロウサギミュージアムQuruGuru
                
             
                 国際自然保護連合(IUCN)は3日までに、世界の絶滅危惧種をまとめた「レッドリスト」の最新版を公表した。森林伐採などで世界の鳥類の6割超が減少傾向にあると分析。一方、鹿児島県鳥で国の天然記念物ルリカケスは絶滅危惧種の分類から外れた。特定外来生物マングースの駆除が評価されたためだが、地元の関係者は「減少リスクはまだ残り、保全が必要」と気を引き締める。
 IUCNは、鳥類の評価対象種のうち1256種(11.5%)が絶滅の危機にあるとした。鳥類の減少は2016年の推定で44%だったが、今回は61%に割合を増やした。要因として森林伐採や農業の拡大、気候変動を挙げた。
 鳥類は受粉や害虫抑制で森の生態系を支えているとし、評価した専門家は「減少は生物多様性の危機の深刻さ、各国政府が条約などで約束した行動を緊急に実行する必要性を示している」とコメントした。
 一方、奄美大島と加計呂麻島、請島、与路島だけに生息するルリカケスは、保全活動で個体数が徐々に回復している。絶滅の恐れが3番目に高い「危急(VU)」から「低懸念(LC)」にランクを二つ下げた。琉球列島の固有種アマミヤマシギも、VUから一つ下の「準絶滅危惧(NT)」とされた。
 環境省奄美群島国立公園管理事務所によると、2種の個体数は09年以降ともに増加傾向にはある。マングースの駆除に伴い捕食される卵やひなが減ったとみられるものの、ノネコなどの脅威は依然残る。環境省はIUCNとは別にレッドリストをまとめており、25年度末の改訂を目指している。2種のいずれもまだ絶滅危惧種に分類している。
 奄美野鳥の会の鳥飼久裕副会長は「マングース根絶で環境は良くなったが、奄美の固有種はそもそもの個体数が少ない。世界中でここだけに残る種を引き続き守っていきたい」と話す。
 IUCNのレッドリストでは、南西諸島で産卵するアオウミガメも絶滅危惧種から外れた。世界的な保護活動で回復傾向にあるとしたが、生息地の減少や気候変動といった脅威は続いていると指摘した。