県教育会館前に並ぶ鹿児島のジャズ演奏家たち(高田昌宏さん撮影)
解体される鹿児島県教育会館(鹿児島市山下町)玄関前に、同市で活躍するジャズミュージシャン17人が並び、写真を撮った。1958年に米ニューヨークで撮影されたジャズメン57人の写真「ア・グレートディ・イン・ハーレム」をオマージュし、ジャズ活動家の森田孝一郎さん(58)が企画した。「歴史を刻む建物の記憶とともに、鹿児島で育まれたジャズスピリットを次代に継承しようと思った」と話している。
「ア・グレートディ-」は古い建物前に、コールマン・ホーキンス、レスター・ヤング、カウント・ベイシーら巨匠が並ぶ。写真家アート・ケインが撮影した。スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ターミナル」では、この写真が物語の鍵をにぎっている。
会館は31(昭和6)年完成の鉄筋コンクリート3階建て。意匠ある装飾が目を引くが、老朽化が進んだため解体され、マンションが建設される。部材の一部は展示されるという。
森田さんの趣旨に賛同した松本圭使さん(ピアノ)、リレットさん(ボーカル)、田島良一さん(ピアノ)、山崎トムさん(ギター)らとその家族が、会館前に集まり、映像作家の高田昌宏さん(33)が撮影した。
「ア・グレートディ・イン・カゴシマ」のタイトルを付けて自身の交流サイト(SNS)で発表した森田さんは「会館の見学会に参加した時、ジャズメン57人が並ぶ写真が思い浮かんだ。歴史的建造物の前で鹿児島のジャズ演奏家が一堂に会し、かけがえのない時間を共有することができた」と話した。