秋冬番茶が異例の急騰――価格が前年比7倍、一番茶をも上回る 世界的抹茶ブームのあおりも… 鹿児島県茶市場

2025/11/08 11:23
取引価格が急騰している秋冬番茶=7日、南九州市
取引価格が急騰している秋冬番茶=7日、南九州市
 主にペットボトル茶の原料などに使われる「秋冬番茶」の価格が今年、急騰している。鹿児島県茶市場(鹿児島市)で取引される1キロ平均価格は3000円を超える日もあり、過去10年間で最も高かった今年の一番茶の本茶(2564円)も上回る。茶業関係者は「全国的な在庫の少なさや生産量の減少」が要因とみている。

 県内の秋冬番茶は、「下級茶」とされる三、四番茶より遅い10月中に摘採される。通常、一番茶から順次、取引価格は下がる傾向にあり、24年産の秋冬番茶の1キロ平均価格は431円。今年は24年産の約7倍で取引される日もあり、茶業界関係者は「異例中の異例」と口をそろえる。

 県茶市場を運営するJA県経済連茶事業部によると、今年は10月6日の取引開始日から1キロ平均価格1468円を付け、以降も相場は上がり続け、同29日は3403円に達した。11月5日時点の平均価格は2527円に上る。

 JA県経済連などによると、全国的に長年続いた茶価低迷や高齢化で廃業する生産者が多いほか、主要産地の静岡が減産した影響もあり供給不足になっている。

 世界的な抹茶ブームで、抹茶原料のてん茶生産への転換も一因という。一方で、ペットボトル向け需要は堅調で推移しているといい、品薄感が増した。

 高騰を受け、県茶市場への上場数量は前年比で35%ほど増えた。県茶業会議所の光村徹専務理事は「生産者には良いことだが、価格が高騰すると消費減につながりかねない。抹茶とペットボトル用の二極化が進むと、リーフ茶の需要が減ることにならないか気がかり」と話した。

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