アマミノクロウサギを交通事故死させないで――スピード出し過ぎに赤くピカッ 徳之島町が県道沿いに装置設置

2025/11/09 07:00
時速40キロ以上を検知し、赤く点灯する装置=徳之島町轟木(太平電機提供)
時速40キロ以上を検知し、赤く点灯する装置=徳之島町轟木(太平電機提供)
 国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故死を防ごうと、鹿児島県徳之島町は車の速度を検知してドライバーに減速を促す装置を県道に設置した。世界自然遺産に登録された奄美・沖縄で、速度を検知する装置を使った野生動物の事故対策は初めてとみられる。

 装置は夜行性のクロウサギが活動する時間帯に合わせ、午後7時から翌朝午前6時に走行する車両の速度を120メートル先から検知。時速40キロ以上で赤、30~39.9キロで黄、29.9キロ以下では青に回転灯がつく。ドライバーにスピードの出し過ぎを警告し、クロウサギの飛び出しに注意してもらう。

 装置を考案した太平電機(横浜市)が10月下旬、島内で最も事故が多い県道松原轟木線に設置した。事業費は160万円で、ふるさと納税で支援を募る「ガバメントクラウドファンディング」を活用する。

 徳之島では2023年に28件、24年に過去最多の42件の事故死が起き、25年も10月末の速報値で23件確認されている。国などは看板や防護柵、減速帯の設置といった対策を進めてきたが、事故件数は高止まりが続く。

 町は来年3月末まで効果を検証し、交通量や速度のデータを集める。将来は別の装置でクロウサギの出没を検知し、ドライバーに知らせるシステムの構築を目指す。急増する農作物の被害対策にもつなげる考え。

 太平電機の樋口公平代表取締役社長は「交通事故死をゼロにし、クロウサギと共存できる島になってほしい」と話した。

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