【俳優・迫田孝也のオモ語り】役者を目指したきっかけは21歳、山田洋次監督との出会い。あれから25年…山田組の現場は今も“真剣勝負”の連続です

2025/11/10 20:30
山田監督の映画魂をしっかり受け継いでいきます!!
山田監督の映画魂をしっかり受け継いでいきます!!
 「俳優を目指したきっかけってなんだったんですか?」と取材などでよく聞かれます。

 21歳の時に、同級生の繋(つな)がりで訪れた夏まっさかりの奄美大島。その南部に位置する古仁屋で山田洋次監督や山田組のスタッフさんたちと出会いました。撮影現場や業界の話、観(み)ていた作品や俳優さんたちの話を聞いていると、そこがとびっきり華やかな世界に感じられ、その世界に憧れ、いつしかそこに立つ役者になりたいという思いがどんどん大きくなっていきました。まさに私の役者道の一歩目を踏み出した瞬間でした。あれから約25年がたち、今では山田監督と一緒に作品を作れるまでになりましたが、そこにはある友人の支えがありました。

 11月21日から公開される映画「TOKYOタクシー」で山田監督とは3作品目。1本目が2015年公開の「母と暮らせば」で2本目が21年公開の「キネマの神様」です。いつか山田監督の作品に! という気持ちで上京してきたんですが、そう簡単に機会に恵まれるわけもなく…。ですがその空白の時を埋め続けてくれたのが、奄美の古仁屋出身で今作品のプロデューサーも務める房俊介君。最初の出会いは監督と同じあの夏の奄美大島。山田監督の記憶の中に居続けられるように、監督と一緒に舞台を観に来てくれたり、ご飯会に呼んでくれたりとずっと関係をつなげてくれていました。本当にありがとう。おかげで原点を忘れずにここまで役者道を歩き続けることができました。また一緒に仕事しようね! あ、お酒にも付き合ってね(笑)。

 さて今回、山田組の撮影現場で改めて感じたのは、“真剣勝負”という言葉がこんなに似合う現場はないということです。一つの動作、視線、呼吸。カメラを通して全て見透かされているようなあの緊張感は他では味わえません。セット、小道具、やかんから立ち上る湯気にいたるまで神経が張り巡らされているのを感じます。なので1日撮影しているとげっそりとなりますが、監督の「OK」という言葉がこれほど沁(し)み入るのもまた参加したいと思わせる要因ですね。私の役者道もまだまだ道半ば、この現場での経験をこれからの映画業界を担う多くの人たちにしっかりと伝えていくことが私の使命になったと、今強く感じています。

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